IoTは“考えるインターネット”へ、国内製造業はエッジAIトレンドを生かせるか:製造業IoT
アクセンチュアが、世界のテクノロジートレンドに関する最新の調査レポート「Accenture Technology Vision 2018(以下、テクノロジービジョン2018)」について説明。5つ挙げたテクノロジートレンドのうち、国内製造業にとって「インターネット・オブ・シンキング」と「摩擦ゼロ・ビジネス」が重要な役割を果たすという。
アクセンチュアは2018年4月19日、東京都内で会見を開き、米国本社が同年2月に発表した世界のテクノロジートレンドに関する最新の調査レポート「Accenture Technology Vision 2018(以下、テクノロジービジョン2018)」について説明した。
アクセンチュアのテクノロジービジョンは2007年から発行されており、今回で12回目となる。テクノロジービジョン2018は、25カ国、18の業界に渡る6381人の企業幹部(日本企業は290人)を対象としたアンケートを基に作成した。
アクセンチュア日本法人 執行役員 デジタルコンサルティング本部 統括本部長の立花良範氏は「当社のテクノロジービジョンは、テクノロジートレンドだけではなく、それらがビジネスや社会にどういった影響を与えるかについても解説していることが特徴だ。以前は発表から5年後までを見据えていたが、最近は3年後までの予測と短くなっている」と語る。
5つのテクノロジートレンド
テクノロジービジョン2018のテーマは「インテリジェント・エンタープライズの勃興」。注目したテクノロジートレンドは「AIを『市民』に(Citizen AI)」「拡張現実(Extended Reality)」「データの信憑性(Data Veracity)」「摩擦ゼロ・ビジネス(Frictionless Business)」「インターネット・オブ・シンキング(Internet of Thinking)」の5つである。
「AIを『市民』に」では、AI(人工知能)が人の仕事を奪うのではなく、人とAIが互いの長所を生かして協働することでより高い成果が得られるとした。その上で、AIの判断についての説明責任や法的責任を明確化するとともに、AIならではの攻撃に備える必要が出てくるという。そして、AIがビジネスや社会に恩恵をもたらす「市民」として活躍できるように、教育し、育てていくことが重要だとした。
「拡張現実」では、VRやAR、MRといったXR技術が「情報との距離」「人との距離」「体験との距離」という3つの距離を消滅させるとした。そしてこれら距離の消滅は「現実+[情報]」「現実−[制約]」「現実×[付加価値]」という3つのステップで訪れるという。これら3つの距離と3つのステップから成るXR活用のマトリックスをまとめており、さまざまな可能性が生まれつつあるとした。
「データの信憑性」は、AIやエッジコンピューティングを行う際の基礎になるデータがどれだけ信頼できるのかを問うものだ。この対応策としては、不正確なデータが与える脅威と信ぴょう性の高いデータへのインセンティブの両方に対応できる「データインテリジェンス部門」を企業内に整備することを挙げている。
「摩擦ゼロ・ビジネス」は、AIやIoT(モノのインターネット)を活用する際に求められる大規模なパートナーシップによるエコシステムの構築をよりスピーディーに展開する上で必要となる。
「インターネット・オブ・シンキング」は、クラウドを中心にデータを集約する現在のIoTから、エッジAIによってIoTが“考えるインターネット”となる、インテリジェントな分散環境の創造を指す。そのためにも、エッジ側のハードウェアを含めたインフラアーキテクチャを再考すべきだとしている。
立花氏は「日本の主力産業である製造業にとって『インターネット・オブ・シンキング』に求められる技術は、産業用ロボットなどをはじめ得意とするところで、日本向けのトレンドではないかと思うほどだ。一方、製造業を含めて日本企業は、IoT活用やモノ売りからコト売りへの移行などで求められるエコシステム構築に必要なパートナーシップ作りが苦手だ。そういった意味で「摩擦ゼロ・ビジネス」を実現する技術は重要ではないか」と述べている。
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