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製造業VRはゲームエンジン/CADデータのダイレクト変換の進化に期待かMONOist 2018年展望(1/2 ページ)

2017年はMONOistでも情報発信が活発だったVR/AR。話題として盛り上がる一方で、製造業における普及での課題もある。製造業向けとしては、将来はARの進化に期待したい。

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 VR(仮想現実)/AR(拡張現実)について、ハードウェアは2016〜2017年にかけて、廉価なVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)や対応PCなどが続々と発売され、バリエーションが広がった。「HTC Vive」と「Oculus Rift」といった廉価VR HMDの導入事例は、日本の製造業においても少しずつではあるが聞こえてくるようになってきた。しかし「普及」となれば、引き続き、さまざまな課題を抱えている。MONOist編集部では2018年も引き続き、産業向けVR/ARの動向について注目していきたい。

3D CADデータ変換が直近の課題か

 VR/ARコンテンツを簡易に生成するソフトウェア自体は既に多数登場してきている。廉価なHMDはゲームエンジン(ポリゴンデータ)を利用する仕組みがベースである。産業向けVR/AR普及の要となる、3D CADデータとゲームエンジン間のデータ変換についてはまだ課題が多い。実際、従来型のハイエンドなシステムを活用するか、自社で独自開発するツールを使用しているというケースが公開事例では目立っている。産業でのVR普及においては、コンテンツ生成ソフトが単に「安い・簡単」であればよいわけではなく、大規模かつ詳細なデータが扱えることが強く望まれ、それが技術的にもコスト的にもハードルを高めている。

 2017年中は、ダッソー・システムズやシーメンスPLMソフトウェアなどCADベンダー側からのVR関連の機能に関する発表が見られた。ただし、あくまで簡易なコンテンツ生成機能やレビュー連携機能にとどまっている。こちらも機能としては、まだこれから成熟していく部分であるといえ、2018年中の発表にも期待したい。

 オートデスクが鋭意開発していたゲームエンジンの「Stingray」だったが、2018年1月7日をもって販売と開発を終了している。Stingrayは、FBXデータを仲介させることで、3D CADデータもVR空間で簡易に扱えるようにしていた。一方で、CADのソリッドデータにおける面の扱い方では少々の課題を抱えていた。

 現在、UnityとUnreal Engineがゲームエンジン界の2強といわれ、オートデスクが独自のゲームエンジン開発を断念した大きな理由でもある。UnityはゲームエンジンとCADのデータのダイレクト連携に対応するが、それ以外には、同様かつ有力なソフトが市場に登場していない。もちろんUnityの機能にも課題はある。CADデータにも対応するとしているSIGGRAPHのUnreal Engineユーザーグループが開発する「Datasmith」は、こちらはまだプレビューが公開されたのみである。

 VR関連ハードがある程度出そろったところで、2018年以降では新たな3D CADデータのダイレクト変換ソフトの登場や、既存機能の改良が期待される。しかしながら、そのようなソフトや機能を市場に登場させるには、CADユーザー側がVR/ARコンテンツ生成に対して強いモチベーションが湧いていなければならない。よって、その普及にあたっては、従来のシステムをベースに考えてきたCADユーザー側がまず変化しなければならない。また変化を望んでいなければ、VRもARも必要がないといえるだろう。


石川県の中小企業 サンキのVR事例より(出典:プロノハーツ)
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