初期費用なしのLoRaWANのIoT通信サービスがスタート、月額は最安で8円:製造業IoT(2/2 ページ)
センスウェイは、LPWAネットワークの1つであるLoRaWANを用いたIoT通信サービス「Senseway Mission Connect」の提供を始める。通信費は、初期費用なしで1デバイス当たり月額30円から。ボリュームディスカウントを適用すると、1デバイス当たり月額8円まで安価になる。
国内IoTデバイスの接続シェア10%が目標
Senseway Mission Connectで提供するのは、LoRaWANのゲートウェイとネットワークサーバになる。IoTとしてセンサー情報を収集するLoRaWANのデバイスや、ネットワークサーバで蓄積した情報を活用するアプリケーションは、ユーザーが用意する必要がある。
LoRaWANデバイスの管理はWebブラウザベースのツールである「Senseway Mission Connect Management Console」を用いる。センスウェイからSenseway Mission Connectに対応するデバイスを販売しており、「LoRaWAN Shield for Arduino」が1台当たり6400円、「LoRaWAN Shield for Arduinoセット」を1台当たり8000円で購入できる(税込み)。
通信費は、1日の接続回数が12回で月額30円、同48回で月額50円、同144回で月額100円となる(税別)。さらにボリュームディスカウントについては「200万〜300万デバイスを接続するような大口契約の場合で、月額8円までのディスカウントを提案できるようにしたい」(神保氏)という。
この他、サービスエリア外や未導入エリアで利用したい顧客向けにレンタルゲートウェイも用意した。室内用基地局が月額3400円(キャンペーン価格)、室外用基地局が月額1万9800円となっている(いずれも税別)。
神保氏は「センスウェイに入社する前に勤めていたニフティでも、IoTの事業に関わっていたがなかなかスケールしなかった。これはIoTをつなげるコストが高いというのが最大の理由だ。IoTは、いかにして安くたくさんつなげるかが重要。Senseway Mission Connectであればそれが可能だ。3〜5年後には、国内流通するIoTデバイスの接続シェア10%を目指したい」と強調する。
また、センスウェイではデバイス、インテグレーション、アプリケーション、セールス、クラウド、ビジネスクリエーションといったパートナーを募集しており、既に50社以上が加盟しているという。
Sigfoxと比べたLoRaWANの優位性は
アンライセンス系LPWAのIoT通信サービスと言えば「Sigfox」がある。日本国内では京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が独占展開を行っており、2018年3月には100万回線が利用され、人口カバー率50%を達成したと発表している※)。
※)関連記事:Sigfoxの活用は国内100万回線へ、軽量・低価格・長寿命が開くIoTの可能性
KCCSによるSigfoxと比べると、センスウェイのLoRaWANは後発となる。神保氏は「実質1年遅れなので、まずはいかに早く追い付くかが目標になる。LoRaWANは、IoT通信サービスの提供者として競合する場合でも、基地局の共有や相互ローミングといった形で手を結ぶことができる。そういった施策も検討していきたい」と説明する。
通信規格の比較では、1度に送信できるデータサイズがSigfoxの12バイトに対してLoRaWANが242バイトと大きいこと、Sigfoxと比べて使用する周波数帯域が広い(125kHz)ことによる耐ノイズ性を挙げた。さらに「Sigfoxはその仕様から通信時間に20秒かかるが、LoRaWANは2秒で済む。またアプリケーションからデバイスへのダウンリンク通信だけを行う事もできる。Sigfoxはデバイスからアプリケーションのアップリンク通信とのセットになる」(センスウェイ 技術スペシャリストの山口知昭氏)としている。
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