インテルのFPGAはソフト開発者でも簡単に扱える、デルと富士通がサーバに採用:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
日本アルテラがデータセンター向けに展開を強化しているFPGA事業の戦略について説明。デルEMCと富士通のサーバ製品群に、ソフトウェア開発者でもFPGAを容易に扱える環境を用意した「インテルPACカード」が採用されたことを明らかにするとともに、国内のオンプレミスサーバ市場に向けて積極的に提案していく方針を示した。
財務リスク分析とデータベースアクセラレーションのソリューション
今回の発表では、PACカードに組み込み可能なソリューションとして、レビックス(Levyx)の財務リスク分析とスワーム64(Swarm64)のデータベースアクセラレーションの2つを紹介した。
財務リスク分析の市場規模は、オプション取引や保険、法令順守などに対応するため拡大する見込み。2017年から年率15%で成長し、2022年には359億米ドルになるという。この財務リスク分析のプロセスでは、分析アルゴリズムが継続的に進化すること、分析アルゴリズムの実行プロセスが重いことが課題になる。「このアルゴリズムの処理をFPGAが担うことで、継続的な進化に対応しつつ、より効率的な分析も可能になる」(山崎氏)。
実際に、レビックスのソリューションを用いたところ、シンボル(銘柄)当たりの分析アルゴリズムによる処理速度が8.5倍に、オプション取引全体のシミュレーション時間も2倍以上に高速化できたという。
一方のデータベースアクセラレーションの市場規模は、2017年から年率23%で成長し、2022年には385億米ドルになるという。このデータベースアクセラレーションでは、ビッグデータの中から必要なデータを抽出してデータウェアハウスに送るETL(Extract/Transform/Load)と、データウェアハウスに蓄積したデータを用いてビジネス分析を行うプロセスに負荷が掛かっている。山崎氏は「この2カ所でFPGAを活用することでリアルタイム分析を行える」と説明する。
スワーム64による実証実験では、データ分析が従来比で20倍以上、データウェアハウスの処理で同1.5倍以上、ストレージ圧縮で同3倍以上を実現できるとしている。
山崎氏は「世界全体で、データセンター、サーバ、クラウド向けのFPGAの需要は高まっている。国内市場では、オンプレミスでのデータベース利用が多いこともあり、PACカードとデータベースアクセラレーションの需要に期待している」と述べている。
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