自動運転システムは「低消費電力でやれることに限界」、レベル3で50Wも許容範囲:ET2017
Intel(インテル)は「Embedded Technology 2017(ET2017)/IoT Technology 2017」において、同社のFPGAである「Arria10」を使った物体識別のデモンストレーションを実施した。
自動運転車を開発していく上で、車載システムの消費電力に対する要件は緩みつつある――。Intel(インテル)は「Embedded Technology 2017(ET2017)/IoT Technology 2017」(2017年11月15〜17日、パシフィコ横浜)において、同社のFPGAである「Arria10」を使った物体識別のデモンストレーションを実施した上で「低消費電力ではやれることに限界がある」と訴えた。
デモでは、単眼カメラが撮影した映像から、歩行者と車両、障害物がなく走行できうるエリア、車線をニューラルネットワークによって認識、分類した。消費電力は大気温度で8.5W、最も悪い条件では30Wとなるという。将来的に半分の消費電力で同じ性能を出せるようにするロードマップも描いているが、現状では車載用として消費電力が大きすぎるように見える。
しかし、インテルの説明員は、自動車メーカーやティア1サプライヤーの消費電力に対する考え方が変わりつつあると説明した。「組み込みで消費電力20Wというのがこれまで多い要求だったが、この消費電力でやりたいことが実現できるハードウェアはないという認識が広がっている」(インテルの説明員)という。
「2020〜2022年ごろに出てくるレベル3の自動運転は、消費電力が50〜70Wになるだろう。消費電力20〜30Wが要求されるのはその次の段階だ。2020年ごろよりも先行して市場投入した一部のモデルは100Wを超えている可能性もあるし、Google(グーグル)の自動運転車は数百Wにもなる」(インテルの説明員)
GPUに対するFPGAの強みとして消費電力が挙げられることが多い。「パフォーマンス当たりの消費電力の低さをうたってきたが、やろうとすることが高度になるとFPGAでも少なくない電力を消費する」(インテルの説明員)とし、これについても状況が変わりつつあるようだ。
あらためてFPGAの強みについて尋ねると、画像の枚数が少ない場合の処理の速さがGPUよりも優位に立つという。データセンターのように大量の画像を集めて処理する場合はGPUが向くが、車両に搭載するセンサーのように画像の枚数が少ない場合、FPGAの処理時間はGPUの4分の1に抑えられる。また、GPUは条件によって処理時間の長さが変動するのに対し、FPGAは必ず一定の時間で処理できるのも特徴だとしている。
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