日産が採用したVR向け触覚デバイスは「深部感覚も再現する」:モノづくり×ベンチャー インタビュー(2/2 ページ)
製造業におけるVR活用が進む中で、視覚だけでなく“触覚”も求められるようになっている。VRの3D空間で触覚を再現するウェアラブルデバイスとして注目を集めているexiiiの「EXOS」は、既に日産やNEC、デンソーウェーブなどに採用されている。
日産だけではない、NECとデンソーウェーブも採用
日産自動車の事例は、製造業からの要望のうちデザインレビューに対応するものだ。実は、残りの2つ、トレーニングとロボットコントロールについても、大手企業によるEXOSの活用が進みつつある。トレーニングでは、NECが2018年3月に行った法人向けVRソリューションの記者説明会で披露した、製造業におけるトレーニングを想定したソリューションでEXOSが用いられている(関連記事:VRは見るだけでは終わらない、触覚デバイスや視線追尾で生まれる価値)。
ロボットコントロールは、デンソーウェーブ、ベッコフオートメーションなどが2017年11月の「2017 国際ロボット展」で披露した双腕型の「マルチモーダルAIロボット」へのVRティーチングをするためのインタフェースにEXOSを採用している。山浦氏は「これらの顧客とは、VRの課題を乗り越えていくという同じ思いを持っており、いい形で共同開発を進められている」と強調する(関連記事:双腕型ロボットが自動でタオルをたたみサラダを盛り付ける、AI学習はVRシステム)。
今後のビジネス展開としては、製造業を中心としたB2B向けで実績を積み重ね、VRだけでなくAR(拡張現実)やMR(複合現実)がさらに広がるタイミングに向けて開発を加速させていく考えだ。「当初はB2Bを軸足にしていくが、開発キットなどを展開することで、エンターテインメントなどのB2C分野も視野に入れていきたい」(金子氏)としている。
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