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陸上輸送を代替する無人貨物船技術の共同研究を開始:ロボット開発ニュース
楽天技術研究所とノルウェーのMaritime Roboticsは、無人貨物船とその関連技術の共同研究を行うことで合意した。既存のトラックによる陸上輸送の課題の解決策として、無人水上艇の可能性を探求する。
楽天は2018年3月13日、同社グループの研究開発機関である楽天技術研究所と、ノルウェーの無人船舶運航ソリューションのプロバイダーMaritime Roboticsが、無人貨物船とその関連技術の共同研究を行うことで合意したと発表した。楽天技術研究所がコンピュータビジョンと物体認識、意思決定AI(人工知能)、物流最適化を、Maritime Roboticsが制御、センサーシステム、通信、制御室システムに重点を置いて研究を進める。
現在の物流網はトラックによる陸上輸送が中心だが、これには多くの人手と道路や橋梁、ガソリンスタンドなどの交通インフラへの大規模な投資が必要になる。また、環境汚染や渋滞の原因にもなる。
今回の共同研究は、このような課題の解決策として、無人水上艇(USV)の可能性を探求するものだ。USVは陸上輸送と比較して最高速度には劣るが、航行の自由や自律性によって継続的な運航ができ、運航コストの削減と効率化が期待できる。既存の港湾やドックなどの海上インフラを利用することで、インフラ投資を抑えられるという利点に加え、船舶はトラックよりも稼働寿命が長いという利点もある。
USVの操作は、オペレーターがコンピュータビジョンと遠隔制御技術を活用して行う。また、AIによる制御支援により、人的事故の発生リスクの低減、及びオペレーターの負荷の軽減にもつながる。
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