IoTでぐっすり眠れる病室に、温度と雑音、光を制御:医療機器ニュース
鹿島建設とNECネッツエスアイは、病院多床室の設備を患者個々の好みに合わせて自動制御する療養環境向上システム「NEM-AMORE」を共同で開発した。空調や照明などを最適化することで、入院患者それぞれに快適な環境を提供する。
鹿島建設とNECネッツエスアイは2018年3月15日、病院多床室の設備を患者個々の好みに合わせて自動制御する療養環境向上システム「NEM-AMORE(ネマモーレ)」を共同で開発したと発表した。センサーから得た情報を基に、空調や照明などをリアルタイムかつ自動で最適化することで、入院患者それぞれに快適な療養環境を提供する。
同システムは、鹿島建設の睡眠環境向上技術と、NECネッツエスアイの環境、バイタル情報を可視化、数値化するIoT(モノのインターネット)技術およびホテル向けルームマネジメントシステムで培った環境制御技術を融合したものだ。
患者の睡眠状態を検知する生体センサーと、病室内の騒音、照度、温度などを測定する環境センサーのデータを、IoT技術でサーバに収集・統合し、そのデータを睡眠環境向上技術と照合して室内環境の最適解を算出する。それに基づき、環境制御技術を用いて設備機器をリアルタイムに制御し、患者それぞれの睡眠状態に合った室内環境を自動的に形成する。
同システムの導入によって、入院患者が良質な睡眠を得られることで目覚めにくくなり、夜間のベッド乗降やトイレの回数が減少する効果、転倒によるけがのリスク軽減などが期待される。医療施設にとっても、夜間の呼出コールが減ることでスタッフの業務負荷が軽減され、就労環境の改善も見込める。
両社は、NEM-AMOREを鹿島技術研究所内の体感型実験室「インフィル知能空間」に実装し、今後さらなる検証を続け、技術の高度化を図っていくとしている。
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