2018年産業用通信、産業用イーサネットがフィールドバスを上回る:FAニュース
HMS インダストリアルネットワークスが、2018年の産業用ネットワーク市場動向に関する分析結果を発表した。産業用イーサネットが22%と速いスピードで成長した結果、現在のグローバル市場の52%を占めてフィールドバスのシェアを上回ると予測する。
HMS インダストリアルネットワークスは2018年2月16日、2018年の産業用ネットワーク市場動向についての分析結果を発表した。同社が認識する2018年の産業用通信の動向予測と、過去5年間の推移を振り返ったもの。FA分野で2017年に新設されたノード数を基に2018年の状況を予測したところ、フィールドバスのシェアを産業用イーサネットが上回る結果となった。
産業用イーサネットは、フィールドバスよりも速いスピードで成長。成長率は22%で、現在のグローバル市場の52%(前回46%)を占める見込みだ。フィールドバスは42%(同48%)となっている。
また、産業用イーサネット市場では、イーサネット/IPが15%でシェア最大となった。他にPROFINET、EtherCAT、Modbus-TCP、イーサネット POWERLINKが続く。
フィールドバスは、特定の業界の後押しや産業界でのサイバーセキュリティの懸念から成長は続いているものの、成長率は6%(前回4%)にとどまる。導入数は、ここ数年の間に徐々に減少していく見込みだ。シェアは依然としてPROFIBUSが多くを占め、世界市場の12%。続くModbus-RTUとCC-Linkがそれぞれ6%となっている。
成長率32%と急速なペースで伸びているワイヤレス技術は、現在、市場全体の6%に達している。中でも最も普及しているのは無線LANで、Bluetoothが後に続く。
地域ごとに見ると、欧州や中東ではPROFINETとイーサネット/IPが多く、PROFIBUSも広く使われている。この他、EtherCAT、Modbus-TCP、イーサネット POWERLINKもよく使われている。CIPネットワークが支配的な米国市場においては、イーサネット/IPへの移行が明らかになっている。
アジアでは市場をリードするような突出したネットワークはないが、PROFINET、イーサネット/IP、PROFIBUS、EtherCAT、Modbus、CC-Linkが広く使われており、イーサネット系のCC-Link IE Fieldが勢いを増している。
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