ベンツ初の48VマイルドHV、20年ぶりの直6と組み合わせて「Sクラス」に採用:電動システム
メルセデス・ベンツ日本は、電源電圧が48Vのマイルドハイブリッドシステムを搭載したフラグシップセダン「S450」を発表した。メルセデス・ベンツブランドが48Vマイルドハイブリッドシステムを採用するのは初となる。
メルセデス・ベンツ日本は2018年3月1日、電源電圧が48Vのマイルドハイブリッドシステムを搭載したフラグシップセダン「S450」を発表した。メルセデス・ベンツブランドが48Vマイルドハイブリッドシステムを採用するのは初となる。
電動化を前提に新たに設計された、ターボチャージャー付き直列6気筒エンジン(M256)を採用する。さらに、排気の少ない低回転域で過給する電動スーパーチャージャーも搭載することにより、幅広い回転域で優れたエンジンレスポンスを実現する。直列6気筒エンジンの搭載は1997年に生産を中止して以来、約20年ぶりとなる。
48Vマイルドハイブリッドシステムで駆動するのは、オルタネーターとスターターを兼ねたISG(インテグレーテッド スタータージェネレーター)や電動スーパーチャージャー、エアコンのコンプレッサーやウオーターポンプだ。ベルト駆動の補機部品を電動化することによりエンジンの効率を高めている。エンジンそのものも、各部品の摩擦低減や燃焼の最適化に向けた技術が取り入れられている。
従来のV型6気筒エンジンと比較して、CO2排出量は20%削減し、出力は15%以上向上した。発表日から予約注文を受け付けており、2018年4月ごろから納車を開始する。税込み車両価格は1062万円から。
直6と電動化
気筒配置が直列のエンジンの採用により、エンジンの左右のスペースに補機類を配置することが可能となった。また、エンジン前部のベルト駆動装置が不要となったことにより省スペース化も実現した。エンジン自体はさまざまなモデルへの採用を前提にコンパクトな設計としている。
新開発の直列6気筒エンジンはISGの採用を前提に設計された。これまで12V駆動のスターターモーターがあった位置にパワーエレクトロニクスを一体化し、追加のワイヤーハーネスなしにISGを接続した。
ISGはエンジンと9速ATの間に配置されたモーターで、最高出力16kW、最大トルク250Nmを発揮する。制動時のエネルギー回生でISGが発電した電力は、48Vシステムの電源である容量1kWhのリチウムイオンバッテリーに充電する。ISGはオルタネーターとしては最大10kWのエネルギー回生が可能だ。なお、電源電圧が12Vの従来の補機バッテリーも残る。
ISGは、充電だけでなくエンジン低回転時の動力補助も行う。高出力なモーターとなったことにより、エンジン始動時やアイドリングストップから復帰する時の快適性も向上した。
走行データやレーダーセンサーの情報を基に、エンジンが2秒以上停止しないと車両側で予測した場合にアイドリングストップしない機能も採用した。2秒以下のアイドリングストップは、エンジンを停止しないよりも燃費が悪化するためだ。アイドリング中はモーターの充電電流を調整してエンジンの回転数を520rpmに保ち、効率性や快適性、静粛性を確保する。
48Vマイルドハイブリッドシステムの構成部品の1つである電動スーパーチャージャーは出力が5kW以上あり、過給圧を自然な形で高められるという。エンジンの低温側のインタークーラーの直前に設置されており、300ms以内に最高7万rpm、最大圧力比1.45に達する。
新開発の直列6気筒エンジンであるM256は、単体で最高出力270kW、最大トルク500Nmを発揮する。環境性能向上のため、摩擦低減や可変制御オイル回路、燃焼プロセスの最適化、吸気バルブの早閉じを行うカムトロニックを採用している。シリンダー内をスチールカーボンでコーティングする摩擦低減加工も施した。
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