LIXILが250個のセンサーを設置したIoTハウスで見据える、スマートホームの将来像:製造業×IoT キーマンインタビュー(3/3 ページ)
建築材料と住宅設備機器の国内最大手企業であるLIXILは、IoT活用によるスマートホームの実現に取り組んでいる。同社 Technology Research本部 システム技術研究所 所長の三原寛司氏に、住まいへのIoT活用の実証実験の場となる「U2-Home II」での取り組みや、スマートホームにおけるIoT活用の可能性などについて聞いた。
色んなモノとつなげることに積極的に取り組む
MONOist IoTを活用する用途はいろいろと考えられていますが、スマートホームも大きな市場です。
三原氏 これまで国内で提案されるスマートホームは、メーカーごとの色が出過ぎていて囲い込みが強いイメージがある。LIXILは、住宅に用いられる建材や住設機器のメーカーとして個別に提案してきた立場なので、色んなモノとつなげることに積極的に取り組める。
LIXILは、2017年7月に発足した暮らしのIoTサービスを目指す「コネクティッドホーム アライアンス」(関連記事:日本品質の「暮らしのIoT」目指すアライアンスが会見「限りなくオープンに」)に理事企業として参加しているし、2017年10月の「CEATEC JAPAN 2017」にも初出展した。経済産業省が推進する「Connected Industries」の重点取り組み分野の1つ「スマートライフ」でも、業界の垣根を越えた連携が求められている。建材と住設機器を扱うLIXILとしてもつながるようにすべきと考えているし、当社 社長兼CEOの瀬戸(欣哉氏)もデジタル活用や垣根を超えた動きを重視している。
MONOist 住宅におけるIoT活用で注目しているセンサーはありますか。
三原氏 カメラについては、浴室とトイレはNGだが、積極的に使っていきたい。U2-Home IIでも、全周囲モニターの他、玄関ドアの解錠/施錠時の認証や記録への活用などを想定しているが、意外と使いどころが難しい。
バイタルセンサーの活用も検討している。実は、交通事故死者数よりも、住宅内での事故死者数の方が多い。特に浴室では、急激な寒さやヒートショック、浴槽でのうたた寝などで亡くなることが多く、バイタルセンサーを役立てられるのではないか。
MONOist 各社がスマートホームの事業化に取り組んでいますが、なかなかうまくいっていないのが実情です。どのような課題があると見ていますか。
三原氏 スマートホームがうまく広がらなかったのは、何十年と使われる可能性のある建材とインターネットのサイクルとが合わなかったからだ。だがネットワーク化の流れは確実に進んでいて、それがようやく住宅にきており、まさに面白いフェーズにあると思う。
センサーなどを建材に埋め込んではいけないなど、慎重になろうとすればいくらでも理由はある。住宅に関わる全てのモノがネットワーク化されるわけではないが、住宅に取り込まれていくのは間違いないトレンドだ。風呂に入っているだけ、トイレに入っているだけでいろんなことが分かるなど、さまざまな可能性がある。
OTA(Over the Air)によるソフトウェアアップデートで機能を増やしていく仕組みも必要だろう。従来の建材や住設機器にはなかった概念だ。ただし、コストを突き詰めている建材や住設機器の1つ1つにOTAを入れても収益を回収できない可能性があるし、施工業者がOTAにどう対応するのか、施工業者が関与せずにOTAのアップデートやセキュア化ができるのかなど検討すべき課題は多い。最初は、B2CではなくB2Bから始まるのではないだろうか。
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