LIXILが250個のセンサーを設置したIoTハウスで見据える、スマートホームの将来像:製造業×IoT キーマンインタビュー(2/3 ページ)
建築材料と住宅設備機器の国内最大手企業であるLIXILは、IoT活用によるスマートホームの実現に取り組んでいる。同社 Technology Research本部 システム技術研究所 所長の三原寛司氏に、住まいへのIoT活用の実証実験の場となる「U2-Home II」での取り組みや、スマートホームにおけるIoT活用の可能性などについて聞いた。
住空間の快適な制御は「パッシブファースト」がコンセプト
三原氏 初代のU2-Homeではレベル2までの実証実験を行っていたが、レベル3についての実証実験を始めるため、2016年にLIXIL本店(東京都江東区)のすぐそばに作ったのがU2-Home IIだ。築15年の既設住宅をベースに、LIXILの建材や住設機器を取り入れるとともに、取得したデータのクラウド連携も行っており、より「IoTハウス」といえるものになった。例えば、住宅の外側に設置した複数のカメラを用いる「全周囲モニター」は、初代と比べるとより本格的なものになっている。
U2-Home IIには、LIXILの製品を入れるだけでなく、さまざまなメーカーの家電製品や機器を導入するとともに、250以上のセンサーを設置している。LIXILのモノだけつながっても仕方がないわけで、色んなモノとつながって連携できる必要がある。
また、レベル2に含まれる住空間の快適な制御では「パッシブファースト」がコンセプトになっている。独自に定めた「快適指標」をゼロに近づけることで快適になるようにするのだが、そのときに、風を住宅内に効果的に取り込むウインドキャッチや、空気を逃がしやすい窓の開け方によって実現する。当社は窓も扱っており、電気仕掛けだけではないやり方も検討している。
住空間の快適な制御で重要な役割を果たすエアコンについては、リモコンを使わないようになっている。エアコン単体の場合、エアコンに組み込んだセンサーで制御を行うが、U2-Home IIでは、住宅内に設置したセンサーデータやビッグデータを基に、快適指標をゼロにするように自動で動く。まさに「おうちが判断する」わけだ。
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