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純銅の溶接欠陥を95%削減する新たなレーザー溶接技術を確立:FAニュース
古河機械金属と古河電気工業は、純銅の溶接欠陥を大幅に抑制する新しいレーザー溶接技術の確立に成功した。純銅の溶接時にビームモードを最適化することで、溶接欠陥量を従来比で95%以上削減する。
古河機械金属と古河電気工業は2017年12月21日、純銅の溶接欠陥を大幅に抑制する新しいレーザー溶接技術を確立したと発表した。
同技術は、古河電気工業製のファイバーレーザーが得意とする「高エネルギー密度ビーム」に、古河機械金属の子会社、古河電子が開発した「ビームモード制御技術」を融合させた。
純銅の溶接時にビームモードを最適化することで、スパッタ(溶けた金属が飛散した微粒子)やブローホール(溶接金属内に生じる空洞)など、溶接時の欠陥を従来比で95%以上削減する。これにより、自動車用モーターやインバータ用パワー半導体の製造において、大幅なコスト削減と高性能化、小型化への貢献が期待できる。
自動車のEV化に伴い、自動車用モーターやインバータ、電池などに適用できる新たな溶接技術、中でもファイバーレーザーによる溶接への期待が高まっている。しかし、純銅溶接では、熱伝導率の高さと光吸収率の低さを要因とする溶接欠陥が発生しやすいという技術的な課題があった。
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