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デジタルヘルスと高齢化の施策で互いの将来を俯瞰するオーストラリアと日本海外医療技術トレンド(31)(3/3 ページ)

世界各国で進んでいるデジタルヘルス推進施策だが、日本と同じアジア太平洋地域も同様だ。電子カルテ普及率が9割を超えるオーストラリアは、日本の将来を俯瞰する上で参考になる。オーストラリアにとっても、今後の課題となる高齢化施策は日本の取り組みが参考になりそうだ。

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イノベーションとセキュリティ/プライバシーのバランスは共通課題

 現在、デジタルヘルス庁は、My Health Recordと並行して、以下のようなデジタルヘルス・プログラムを構築・運用している。

  • 研究評価プログラム
  • デジタルヘルス・サイバーセキュリティセンター
  • デジタルヘルス開発者プログラム

 このうち、デジタルヘルス・サイバーセキュリティセンターは、以下の4つのテーマを軸に機能強化を図っている。

  • サイバーセキュリティ・パートナーシップ:プロアクティブなサイバーセキュリティ情報収集
  • デジタルヘルスのセキュア化:全国デジタルヘルス・システム/サービス保護の強化
  • サイバーセキュリティ・ガイダンス:サイバーセキュリティに関するナレッジ共有の向上
  • サイバーセキュリティ・インシデント対応:効率的なインシデント対応

 また、デジタルヘルス開発者プログラムでは、「オーストラリア・デジタルヘルス庁開発者センター」ポータル(図4参照)を立ち上げて、「My Health Record」と連携するソフトウェア開発に必要なリソース/ドキュメント類などを公開している。アイデアソン、ハッカソンなど、コミュニティーイベントについては、各州/地域政府レベルで、産官学連携によるイノベーション支援活動を実施している。

図4
図4 オーストラリア・デジタルヘルス庁のデジタルヘルス開発者支援プログラム(例) 出典:The Australian Digital Health Agency「AUSTRALIAN DIGITAL HEALTH AGENCY DEVELOPER CENTRE

 なお、デジタルヘルス庁は、My Health Recordの登録者数を増やすために、「2017-18年次業務計画」(関連情報)の柱として、現行のオプトイン型モデルをオプトアウト型に移行する計画を掲げている。日本では、今春施行予定の「次世代医療基盤法」で注目されるテーマであり、今後のリアルワールドデータ利活用型デジタルヘルスの将来展望を占う観点からも、オーストラリアの動向が注目される。

筆者プロフィール

笹原英司(ささはら えいじ)(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)

宮崎県出身。千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所等でビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。

Twitter:https://twitter.com/esasahara

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