トヨタのVR集合教育の実証実験に成功、新型レクサスLSの技術講習会で:VRニュース
電通国際情報サービスは、トヨタ自動車向けに開発した「遠隔地3D車両情報共有システム」を用いて、日本とアジア3拠点のエンジニアを結ぶVR集合教育の実証実験を実施し、成功した。
電通国際情報サービス(ISID)は2017年12月27日、トヨタ自動車(トヨタ)向けに開発した「遠隔地3D車両情報共有システム」を用いてVR(仮想現実)集合教育の実証実験を実施し、成功したと発表した。
今回、トヨタの多治見サービスセンター(多治見SC)で実施された集合教育には、多治見SCの講師とToyota Motor Thailand(タイ)、Toyota Motor Philippines(フィリピン)、PT.Toyota-Astra Motor(インドネシア)のアジア3拠点のエンジニア約50人が参加した。
同年10月に発売された新型レクサスLSの技術講習会を対象としており、バッテリーの交換方法や新設部品の構成など約10項目の技術情報を説明。従来の講習会と同様の説明に加え、車両内部の構造を確認したり、リアルタイムにカットモデルを作るなど、VR映像ならではの講習が盛り込まれた。
また、VR映像を複数拠点かつ多人数に一斉配信し、遅延なくコミュニケーションがとれることも実証。実車による集合教育を十分に補完し、教育を充実できることが確認された。
同システムはVR技術を用いて、車両の3D設計データを3D画像としてヘッドマウント・ディスプレイ上に再現。遠隔地にいる複数のユーザーが、同じ空間で1台の車両を眺めているかのような仮想環境を提供する。統合型ゲーム開発環境「Unity」とネットワークエンジン「Photon」に、ISIDが開発した直感的なユーザーインタフェースを組み合わせた。車両の精緻な3D画像に加え、機構のアニメーション表示、モデルと視点の自由な移動、指示箇所へのマークの付与、ドキュメントの閲覧、音声会話、アバター表示などの機能を備え、視覚的なコミュニケーション手段を提供する。
トヨタでは従来より、多治見SCに海外拠点のエンジニアを集め、実車を用いた集合教育を実施している。しかし、コストや時間的な制約があり、参加できる人員に限界があった。そこで、ISIDが開発パートナーとなり、VRを活用した遠隔地3D車両情報共有システムを同年6月に開発。今回の実証実験は、アジア3拠点を対象とした集合教育に同システムを適用し、その有用性を実証するために実施した。
関連記事
- トヨタもお試し中のVRシステム「NVIDIA Holodeck」、AIロボのIsaacとの連携も
エヌビディアは「GTC Japan 2017」の会場で、同社が開発するVRシステム「NVIDIA Holodeck」の概要について明かした。同システムのアーリーアクセスを利用するトヨタ自動車による例も紹介した。 - 「Vive」「Unity」「Photon」でVRコラボレーション、トヨタの販売店向けに開発
電通国際情報サービス(ISID)は、「第25回 3D&バーチャル リアリティ展(IVR2017)」において、トヨタ自動車向けに開発中のVRマルチユーザーコラボレーションシステムを披露した。 - トヨタとヤンマーの新型船開発は異例の短期計画、「挑戦的でやりがいあった」
トヨタ自動車とヤンマーは、「ジャパンインターナショナルボートショー2016」で、2016年3月1日に両社が発表したマリン事業の提携について説明。共同開発した船体(ハル)を用いた小型艇を同年10月に商品化するが、「造船業界にとっては異例の短期開発計画だった」(ヤンマー専務取締役の苅田広氏)という。 - トヨタ、マツダ、デンソーが新会社、開発するのは「EVの基本構想に関する技術」
マツダとデンソー、トヨタ自動車は、電気自動車(EV)の基本構想に関する技術の共同開発を行う新会社を設立する。2017年8月にトヨタ自動車とマツダが発表した資本業務提携の一環となる取り組みだ。 - トヨタ自動車が車載Linux「AGL」を車載情報機器に全面採用、「他社も続く」
トヨタ自動車が車載Linux「Automotive Grade Linux(AGL)」を用いた車載情報機器の全面採用を決めた。2017年夏発売の新型「カムリ」の車載情報機器にAGLを採用していたが、これを今後発売する全ての新型車に広げていくことになる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.