トヨタ、マツダ、デンソーが新会社、開発するのは「EVの基本構想に関する技術」:電気自動車
マツダとデンソー、トヨタ自動車は、電気自動車(EV)の基本構想に関する技術の共同開発を行う新会社を設立する。2017年8月にトヨタ自動車とマツダが発表した資本業務提携の一環となる取り組みだ。
マツダとデンソー、トヨタ自動車は2017年9月28日、電気自動車(EV)の基本構想に関する技術の共同開発を行う新会社を設立すると発表した。2017年8月にトヨタ自動車とマツダが発表した資本業務提携の一環となる取り組みだ。
資本金1000万円のうち、トヨタ自動車が90%を、マツダとデンソーで5%ずつを出資する。拠点は名古屋市内に設ける。社員数は発足時で約40人で、専任のエンジニアは各社から出向する。開発資源はトヨタ自動車とマツダが等しく負担するとしている。今後は他の自動車メーカーやサプライヤーも参画できるオープンな開発体制とする。会社名は「EV C.A. Spirit」。
トヨタ自動車とマツダは2017年8月、相互に500億円を出資する業務資本提携を結んだ(※1)。資本提携に踏み込むことで、米国での生産合弁会社の設立やEVのプラットフォーム開発、商品の拡充など協力関係を深化させるのを目的とする。協力関係を具体化した結果、新会社の設立に至った。
(※1)章男社長「電気自動車の味つけは難しい」、トヨタが期待するマツダの商品企画力
EVの販売台数について「当面はまだ多いといえない」(トヨタ自動車)という認識を示した。しかし、地域やニーズによって多種多様なクルマ像が求められており、1社単独で全ての市場やセグメントをカバーするには膨大なコストが発生することを課題として挙げる。
基本構想を共同で
新会社では、軽自動車から普通車、SUVや小型トラックまで幅広い車種をターゲットとする。マツダが得意とする一括企画やモデルベース開発、トヨタ自動車の「TNGA(Toyota New Global Architecture)」、デンソーのエレクトロニクス技術を持ち寄り、開発手法そのものを見直す。これにより、幅広い車種やセグメントをカバーする“EVの基本構想”となる技術を共同開発していく。
具体的には、EVに最適な性能や機能を規定するコモンアーキテクチャ(特性)の研究、その特性を実現するユニットや車両の性能の検証を行う。また、車種群としてみた場合のユニットや車両の最適構想も検討していく。効率的な開発や既存の生産設備の活用を図り、クルマ本来の価値追求に注力してコモディティ化しないEVを開発する。
トヨタ自動車は2016年11月に、EVの早期投入に向けた社内ベンチャー「EV事業企画室」を設置した(※2)。同企画室は新会社に合流せず存続し、新会社が開発した基盤技術をトヨタ自動車の製品向けに取り入れていく。
(※2)トヨタの社内EVベンチャー、トップは4代目「プリウス」開発責任者が就任
新会社の役員はトヨタ自動車から派遣されており、全員が現職と兼務する。新会社の代表取締役は、EV事業企画室統括でトヨタ自動車 副社長の寺師茂樹氏が就任。取締役は、トヨタ自動車 専務で先進技術開発カンパニー プレジデントの伊勢清貴氏と、同 専務でパワートレーンカンパニー プレジデントの水島寿之氏が務める。監査役はトヨタ自動車 専務の上田達郎氏だ。
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