IoTを取り巻くエコシステムの選択肢をより豊かにしていく――Arm:特集「Connect 2018」(2/2 ページ)
IoTデバイスの中核となるプロセッサで最も大きな存在感を持つArmだが、2014年ごろからIoT関連サービス事業への注力を続けている。英国本社でマーケティングアンドセールス担当バイスプレジデントを務めるマイケル・ホーン氏に、ArmがなぜIoT関連のサービス事業に注力しているのか聞いた。
「Amazon FreeRTOS」は脅威ではない
MONOist 無償のリアルタイムOS「Amazon FreeRTOS」を展開するなど、アマゾン(AWS)はIoTデバイス側への展開を拡大している※)。この動きをどう見ているのか。
※)関連記事:組み込み業界に大インパクト「Amazon FreeRTOS」の衝撃
ホーン氏 IoTを取り巻くエコシステムの選択肢をより豊かにしていく、というのがArmの基本的な考え方だ。だからこそ、ArmはAmazon FreeRTOSのサポートパートナーになっている。
もちろん、Mbed OSとArmアーキテクチャのプロセッサの組み合わせであれば、ゼロの状態からでも最高のセキュリティをIoTデバイスにもたらしてくれるというメリットがある。Amazon FreeRTOSは軽量な良いRTOSだが、追加ライブラリでAWSへの接続やセキュリティの確保を行う必要がある。基本的にはユーザーが自身の要件に合わせてどの選択肢を用いるかであって、Amazon FreeRTOSが脅威になるとは考えていない。
MONOist 2017年10月に発表した新製品「Mbed Edge」について教えてください。
ホーン氏 IoTのトポロジーでは、IoTデバイスから直接クラウドにつなげることもあるが、複数のIoTエンドデバイスをIoTゲートウェイで管理し、IoTゲートウェイとクラウドをつなげることも多い。Mbed Edgeは、このIoTゲートウェイを管理するための製品だ。LinuxベースのIoTゲートウェイなどで利用してもらえる。
Mbed Edgeには3つの機能がある。1つ目は「プロトコル変換」。IoTデバイスはIP(インターネットプロトコル)と互換性のない通信プロトコルを扱うことも多いが、それらの変換を担う。2つ目は「エッジコンピューティング」だ。エッジ側のIoTデバイスでアプリケーションを実行したいという需要も多いが、IoTゲートウェイで対応できるようにする。そして3つ目のゲートウェイ管理を使えば、IoTゲートウェイをIoTデバイスのように管理することが可能だ。
IoTデバイスの多くは機能が限定されておりMbed OSが動作しないことも多い。IoTデバイスとつながるIoTゲートウェイにMbed Edgeを組み込むことで、Mbed OSが動作しないIoTデバイスであってもクラウドに安心して接続できる。例えばスマートファクトリーであれば、IoTゲートウェイを使ってセンサーやアクチュエータを管理するという用途が考えられる。
MONOist 今後、Mbedに新たなファミリーを追加する可能性はありますか。
Mbed関連では四半期ごとに新機能を追加している。今あるMbed OSやMbed Cloudにも機能を追加するし、新ファミリーを用意することも計画している。Arm自身でできないようなことも、エコシステムパートナーと協力して対応したい。
Mbedプラットフォームを水平方向の基盤とすると、垂直方向の産業ごとに特化した機能はエコシステムパートナーとの連携で実現する。現在、Armとして注力している産業分野は、公共&エネルギー、交通&物流、コネクテッドビルディングの3分野だ。
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