「2017年はIoT元年」、2030年の世界市場規模は404兆円に倍増へ:製造業IoT
電子情報技術産業協会(JEITA)は、CPS(サイバーフィジカルシステム)/IoT(モノのインターネット)の世界市場調査結果を公表。CPS/IoTの世界市場規模は、2016年は世界で194兆円、日本で11.1兆円だったが、2030年には世界で404.4兆円、日本で19.7兆円とほぼ倍増する見込みだという。
電子情報技術産業協会(JEITA)は2017年12月19日、東京都内で会見を開き、電子情報産業の世界見通しを発表するとともに、近年注力しているCPS(サイバーフィジカルシステム/IoT(モノのインターネット)の世界市場調査結果を公表した。CPS/IoTの世界市場規模は、2016年は世界で194兆円、日本で11.1兆円だったが、2030年には世界で404.4兆円、日本で19.7兆円とほぼ倍増する見込みだという。
JEITA 会長でパナソニック 会長を務める長榮周作氏は「2017年はまさにIoT元年ともいえるような1年だった。今後もこの動きは加速するだろう。そこでJEITAとして初めて、CPS/IoT市場調査を実施することにした」と語る。
今回の市場調査の品目は、ネットワークにつながる機器(IoT機器)とソリューションサービスが対象となっている。IoT機器については、JEITAが電子情報産業の調査対象にしてきたAV機器、通信機器、コンピュータ情報端末、その他電子機器に加え、自動運転車(車体除く)、ドローン、ロボット、ヘルスケア機器、ウェアラブル端末、自動販売機、アプライアンス機器が含まれている。調査方法は、国内外の関連企業・団体へのヒアリングを基に推計したとしている。
2016年のCPS/IoTの世界市場は、2016年が194兆円、2020年が247.3兆円、2030年が404.4兆円で年平均5.4%の増加になっている。さまざまな社会課題に対応するため、IoT機器とソリューションサービスがともに拡大し、各種機器のIoT化率は2030年には8割を超える見込みだ。また、市場の地域別構成を見ると2016年は、日本が6%、中国が16%、アジア太平洋が16%、米州が34%、欧州他が28%で、2030年は日本が5%、中国が19%、アジア太平洋が16%、米州が33%、欧州他が27%となっている。
CPS/IoT市場を10の利活用分野別にみた調査結果も報告した。2030年時点で最も大きい市場が家庭・個人で106.1兆円に達する。次いで流通・物流が44.9兆円、製造(FA・自動車)が44兆円、公共が39.3兆円、金融が29.9兆円、放送・通信が25兆円、医療・介護が22.3兆円、農業が7.8兆円、環境・エネルギーが5.4兆円、その他産業が79.8兆円となっている。2016年から2030年の年平均成長率で見ると、最も高いのが農業で20.2%、医療・介護が10.9%、流通・物流が10.1%の順となる。
長榮氏は「JEITAとしては、CPS/IoTの展示会となったCETAEC JAPANが、出展社や来場者数が増え、あらゆる産業による共創の場に変化していることに手応えを感じている。このほど固まった与党の2018年度税制改正大綱にIoT税制(情報連携投資等の促進に係る税制)が創設されたことも歓迎したい」と述べている。
電子情報産業における日系企業のシェアは13%を維持
なお、電子情報産業の世界見通しでは、2017年の世界生産額が前年比6%増の2兆7401億米ドルで過去最高を更新した。2018年も同4%増の2兆8366億米ドルとなり、3年連続の成長が続く見込みである。
2017年の日系企業の世界生産額(海外生産分含む)は同5%増の38兆5403億円。このうち国内生産額は、電子部品・デバイスの輸出増加などを背景に同7%増となる12兆278億円で、2年ぶりの増加となった。2017年の電子情報産業における日系企業のシェアは、2016年と同じ13%になるという。
また、2018年の日系企業の世界生産額は同2%増の39兆2353億円、国内生産額が同2%の12兆2995億円となる見込みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- CEATEC JAPANの変化と第4次産業革命に対して果たす役割
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第18回となる今回は、CPS/IoTの展示会として生まれ変わった「CEATEC JAPAN」と第4次産業革命の関係性について説明します。 - 新生CEATEC、電子部品メーカーはCPS/IoTにどうアプローチしたのか
「モノ」売りから「コト」売りへの移行が重視されるCPS/IoTの展示会に生まれ変わった「CEATEC JAPAN」。「エレクトロニクスショー」時代から出展を続けてきた電子部品メーカーの展示も、もはや「スゴい部品」を見せるだけでは済まされない。CPS/IoTに対して、どのようにアプローチしているのだろうか。 - 「Connected Industries」でCEATECも変わり、JEITAも変わる
「CEATEC JAPAN 2017」の基調講演にJEITA会長でパナソニック 取締役会長の長榮周作氏が登壇。「超スマート社会『Society 5.0』に向けて」をテーマに、「CEATEC JAPAN」の変化と、世界のトレンドに対するJEITAやパナソニックの取り組みについて紹介した。 - 10年間地盤沈下し続けた日系電子産業、CPSは明るい未来を開くのか
JEITAは2015年の電子情報技術産業の世界生産見通しを発表。電子情報産業の日系企業の世界生産見込みは2014年比7%増の42.8兆円の見通しとなり、国内生産額も増加した見込みだ。ただ一方で10年間の統計を見ると1.5倍に成長した世界生産額に対し、日系製造業の生産額はほとんど伸びていない事実が浮かび上がる。 - CEATECは「Society 5.0」の展示会に、16万人の来場目指す
CEATEC JAPAN 実施協議会は2017年10月3〜6日に幕張メッセ(千葉市)で開催予定の「CEATEC JAPAN 2017」の開催概要を発表した。 - 脱皮途中のCEATEC JAPAN、「産業のつなぎ手」を本当に体現できるか
2018年以降のさらなる進化に期待です。