CEATEC JAPANの変化と第4次産業革命に対して果たす役割:いまさら聞けない第4次産業革命(18)(1/3 ページ)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第18回となる今回は、CPS/IoTの展示会として生まれ変わった「CEATEC JAPAN」と第4次産業革命の関係性について説明します。
本連載の趣旨
本連載は、「いまさら聞けない第4次産業革命」とし、第4次産業革命で製造業が受ける影響や、捉える方向性などについて、分かりやすくご紹介していきたいと考えています。ただ、単純に解説していくだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じて、ご紹介します。
※)本連載では「第4次産業革命」と「インダストリー4.0」を、意味として使い分けて表記するつもりです。ドイツ連邦政府が進めるインダストリー4.0はもともと第4次産業革命という意味があります。ただ、本稿では「第4次産業革命」は一般用語として「IoT(モノのインターネット)による製造業の革新」を意味する言葉として使います。一方で「インダストリー4.0」はドイツでの取り組みを指すものとします。
本連載の登場人物
矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)
自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、話が始まる。多少優柔不断。印出研究所に入り浸っている。
印出 鳥代(いんだす とりよ)
ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。第4次産業革命についてのさまざまな疑問に答えてくれる。サバサバした性格。
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
前回のあらすじ
第17回:「加速するスマート工場化、その手前で考えておかなければならないこと」
あらすじ背景
従業員200人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「新聞で読んだけど、君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われます。しかし、「第4次産業革命」といわれても「それが何なのか」や「どう自分たちの業務に関係するのか」がさっぱり分かりません。そこで、矢面氏は第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに伺うことにしました。
さて前回は、スマートファクトリー化への機運が高まる中で、全てにおいてはスマートファクトリー化が適用されるわけではないということをお伝えしました。
うちの製品に合うロボットや設備がないんですよ。特にコストが全く合わなくて。
生産するものが大きくて高額のものであれば、人に比べて高コストなロボットを導入したとしてもまだ採算性があります。しかし、比較的価格が手ごろな製品を作っている場合、現在人手で行っている生産活動をロボットで置き換えるには「安さ」が障壁となります。現状では、自動化設備のコストは工場全体のスマート化や自動化を進める中では大きな障壁となっています。そのため人手領域の自動化が進まず、スマートファクトリー化についても生産製品が限られる状況が生まれているわけです。
従来の生産改善などの取り組みと同じで、汎用製品などを組み合わせて自分たちで開発しようとしていますが、なかなか道のりが長いという感じです。
確かにその部分のニーズはちょうど、誰も満たせていないという状況なのよね。「誰がその市場を満たすのか」という点には興味があるわ。
さて、今回は新たに2016年からCPS(サイバーフィジカルシステム)/IoT(モノのインターネット)の展示会として生まれ変わった「CEATEC JAPAN」と第4次産業革命の関係性と、どういう役割を担おうとしているのか、という点について説明したいと思います。
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