社長よりも部長よりも、課長が大変な理由:あなたのマネジメント力で組織課題を解決(1)(2/2 ページ)
あなたの組織、ちゃんと回ってますか――。コンサルタントとして仕事の進め方や組織の改革提案を行ってきた筆者が語る、「マネジメントとは課題解決」。“組織を変えたい!”と悩む若手マネージャーの皆さんに向け、マネージャーとして大切にしたい課題解決視点をお伝えします。
論理的思考力がメンバーを前進させる
ではどうすればいいのでしょうか。前述したとおり、マネジメントでは「論理的思考力」と「人間力」が重要です。
チームとして目標達成を目指すときに、常にメンバーを監視し、口うるさく「どうなっているんだ」とプレッシャーを与えるマネジメントと、メンバー全員が「自分のミッションを達成したい」と思い、それぞれが考え、行動できるマネジメント、どちらがいいでしょう? もちろん後者でしょう。
メンバーが自分でアクセルを踏めるようにマネジメントをする。これが非常に重要です。車の教習でも、教官はハンドルとブレーキはサポートしますが、アクセルは踏めない。前進するという思いは自分で生み出してもらうしかないんです。
そのためには、メンバーに意義あるミッションを渡すこと。そしてそのミッションが遂行されないと、全体がうまくいかないことを“論理的に”説明してあげることが大切です。
組織には目標を達成するために構造分解したミッションがあり、それらを担当する役割が存在します。例えば「このリスト、エクセルできれいにして。毎週入力して管理して」という指示ではなく、「この目標を達成するために、私たちは3つのミッションがある。そのうちの一つがこれ。この目的を達成するためにあなたにはこういった書類を作成してもらい、毎週進ちょく管理をしてほしい。それを別のミッションを担当するBさんが確認して、Bさんのタスクにも反映する」としてみます。
そうすると頼まれた本人はタスクの目的を意識し、指示されたことだけでなく、その目的を達成するために他にも方法はないか?よりよい形はないか?を考え、工夫を始めます。自分の仕事が組織や事業を確実に変えていくと理解すれば、やりがいにもつながります。
メンバーが自ら考え、自分で動き出すためには、マネージャーが論理的・俯瞰(ふかん)的に誘導してあげる必要があるのです。
人は情で動く。しかし、情で操作しようとすると人は離れる
しかし、論理だけでは人は動きません。そこには「情」が必要です。そう、マネジメントで重要なもう一つの要素、「人間力」です。
私はよく、「良きリーダーやイノベーターは人気者であれ」と言います。素直でポジティブ、利他主義で建設的な考えを持っていて、かつ結果に責任を負える。そういった人のところに人は集まります。
また、嫌われることを恐れて喜怒哀楽が出せない、と悩む方がいるかもしれませんが、それは違います。喜怒哀楽はあっていいのです。心からの怒りがメンバーを本気にすることもあるでしょう。
しかし、喜怒哀楽をツールにして人を操作しようとすると、メンバーは離れていきます。“指示を聞かないから、一度怒っておいた方がいいな”なんていう経験のある方は、すぐにあらためた方がいいでしょう。
役職は役割の違いであって、権力ではありません。サッカーの監督が、選手より偉いか?そうではありません。自分が持っている役割を遂行する上で、指示を出したり、依頼を受けたりしますが、そこに権力や圧力が発生したら、それはマネージャーの勘違いです。
あなたは強いマネージャーになれる
最初に書いたとおり、部下を初めて持つ新任マネージャーが最も大変です。経験や知識という個人のスキルが十分にない中で、さまざまな制約条件に縛られながらミッションを遂行し、部下を育てていかねばならない。
だからこそ、自信を持ってください。
あなたは会社のどの役職者よりも大変な問題解決にトライしようとしています。そこから多くのことを学ぶでしょうし、たくさんの失敗もあるかもしれない。大切なのは常に素直にものごとに接し、論理的思考力と利他主義を持って、他責にせず自責的に「何ができるか」を考え行動し続けることです。
初回は皆さんへの“メッセージ”に近いものになりましたが、2回目以降はマネージャーとして押さえておきたいポイントをお伝えします。
筆者プロフィル
株式会社VSN VIエキスパート 桑山 和彦(くわやま かずひこ)
通信機器、情報機器メーカーより株式会社VSNに転職。VSNに入社後はエレクトロニクスエンジニアとして半導体のデジタル回路設計やカメラ用SDK開発業務に携わる。
2013年より“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」を推進するメンバー「バリューチェーン・イノベーター・プロフェッショナル」に抜擢。ビジネス・ブレークスルー大学・大学院の教授である斎藤顕一氏より問題解決手法の教示を受け、いくつもの問題解決事案に携わる。
現在はVIエキスパートとして、よりハイレベルなコンサルティングサービスを提供する他、社員の育成プログラムの構築〜実施を行う。
株式会社VSN http://www.vsn.co.jp/
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