ドローンの目視外飛行のための高高度無人航空機の飛行・通信実験を実施:ドローン
NEDOとスカパーJSATは、高高度無人航空機の飛行・通信実験を福島県で実施した。実験データは、災害現場など地上通信が困難な環境下でもドローンが飛行可能な運航管理システムの構築に活用する。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とスカパーJSATは2017年12月7日、高高度無人航空機の飛行・通信実験を福島県で実施したと発表した。NEDOと福島県が締結した「福島ロボットテストフィールドを活用したロボット・ドローンの実証等に関する協力協定」における実証試験の第1弾になる。
実験は、地上通信が困難な環境下でもドローンが飛行可能な運航管理システムの構築を目指したもの。福島県福島市のふくしまスカイパークで同年11月27日〜12月1日、通信衛星と目視外ドローンをつなぐ中継基地として導入を想定している高高度無人航空機に、東海大学のソーラー飛行機「SunFalcon2」を用いて2種類の実験を実施した。
高高度環境下における発電量計算のためのデータ取得の実験では、高度や角度で大きく変動する航空機に搭載されたソーラーパネルとバッテリーの発電量を算定した。高高度無人航空機と地上移動局間の無線機器同士の通信品質データ取得の実験では、周波数帯や送信出力、無人航空機の姿勢状態などの影響を最小限にするために高度280m程度の低空で飛行させ、地上に設置した解析用通信装置(移動局)との間の伝搬特性を把握し、目視外ドローンとの通信品質確保の基礎データを取得した。
当初の目的としていた各種データの取得に成功し、通信衛星や高高度無人航空機を用いることで目視外のエリアにおいても通信環境を構築できる可能性を確認した。
同実験で得られた知見を、新規に開発する高高度無人航空機や無線機器の設計に反映する。これにより、災害現場や地上通信が未整備な地帯でも小型で安価なドローンの目視外飛行が可能な運航管理システムを実現し、新たな利用領域の開拓とマーケットの拡大を目指す。
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