LIXILが“住まいのIoT”に参入、国内で初めて建材とスマートスピーカーが連携:製造業IoT(2/2 ページ)
LIXILは、家電やデジタル機器だけでなく、玄関ドアや窓シャッターなどの建材までIoTでつながる「住まいのIoTリンクシステム」を開発した。2018年4月に全国で発売する予定。当面は、同社が手掛ける新築戸建て1万戸への導入を目標としている。
別々だったHEMSとセキュリティの連携を可能に
LIXILは、人・モノ・家が情報で結ばれた「住生活の未来」についての研究施設「U2-Home」や、東京大学生産技術研究所との共同実証実験住宅「COMMAハウス」などで、“これからの快適な住生活”についての知見やノウハウを蓄積してきた。また、住宅内から屋内や屋外を見守る「スマートエクステリア」を2016年6月に発売している。
住まいのIoTリンクシステムは、これらの取り組みを通して、家電や住宅設備機器だけにとどまらず、開口部やエクステリア、水回り商品も含めた「トータルなシステム」を探求した成果となる。
LIXIL Housing Technology ZEH推進事業部 ZEH推進商品開発部の小平宏氏は「これまでのホームシステムは、家電やハウスメーカーがけん引してきたHEMSと、ホームセキュリティ企業がけん引してきたセキュリティが別々になっていた。住まいのIoTリンクシステムはこれらを連携するものだ。ホームコントローラでHEMSを、リンクコントローラでセキュリティを管理し、これらを一括連携することが可能だ」と説明する。
特徴の1つになっているのが、スマートフォンアプリで設定する「アシストルール機能」だ。「生活シーン」と「きっかけ(トリガー)」の組み合わせから、さまざまな機器やセンサーの「動作」に結び付けることができる。例えば、家から外出する際に、スマートスピーカーに出掛けることを伝えると、窓シャッターが閉まり、エアコンや照明がオフになったり、家の外にいる間(会社で勤務中など)に自宅のドアが開いたら、カメラ映像をメールでプッシュ通知して、家族(子どもなど)が帰宅したことを確認できたり、といった具合だ。「ホームコントローラとリンクコントローラが連携することで、自由にルールを作って組み合わせることができるようになった」(小平氏)という。
スマートフォンアプリで柔軟性を確保する一方で、選びやすいパッケージ商品も用意する。「おうちまるごと自動化パック」「セキュリティーパック」「お手軽見守りパック」などだ。お手軽見守りパックであれば、ホームコントローラとリンクコントローラ、関連センサーが付いて初期費用が10万円程度、リンクコントローラの利用にひも付く月額料金は1000〜2000円の間で検討している。
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