知る人ぞ知るプロセッサや計測器が自己主張、でも少し気になることが……:ET2017獣道レポート(4/4 ページ)
2016年に引き続き、エレクトロニクス/組み込み分野に詳しい大原雄介氏による「ET2017/IoT Technology 2017」の“獣道”レポートをお送りする。プロセッサや計測器などで興味深い製品が出展されている中、大原氏が気になったこととは……。
その他目に付いたもの
ベンチャー/スタートアップパビリオンに出展していたノバルスの「MaBeee」(Photo13)はちょっとしたアイデア製品だと思えた。単三乾電池ホルダーに、Bluetooth 4.1準拠のラジオとセンサー、コントローラーが搭載された細い基板が格納される。ここに単四電池を入れることで、電池でありながらIoTデバイスになる、というアイデアである。会場で紹介されたのは「モニタリングモデル(見守り電池)」で、リモコンの電源に使うことで、オンオフを検出してその情報を外部に飛ばすことができる。クラウド経由でその情報を得ることで、例えば離れた場所の家族の動向を見守ることができる、といった使い方が可能だという。
既にMaBeeeそのものは店頭や通販での購入も可能なので新製品というわけではないのだが、知名度はそう高くない(実際筆者はET2017会場で初めてお目にかかった)あたりが、今後の課題かもしれない。とはいえ、潜在的なニーズは高そうに思える(Photo14)。
別の意味で目に付いたのが、組み込みAI活用ゾーンのほぼ半分近い面積を占めたGROOVE X(Photo15)。さてこれは何でしょう? というと、じつはただの人材募集。“LOVE×ROBOT=LOVOT”ということでロボットを開発する会社で、現在もメンバーを絶賛募集中だそうである。どうしてこんな面積が取れたのか、という話はまた別の記事でご紹介するとして、取りあえずET展の事務局の意向をあえてぶっちぎって自社のアピールに使う、という姿勢そのものはベンチャーらしくてむしろほほえましいというのが筆者の個人的な感想である。
最後に余談を1つ。公式発表によれば今回の参加者は合計2万5281人で、前回実績の2万5564人から微減という程度だが、体感ではもう少し少なかった気がする。具体的にいえば「休憩場所で座れる」「通路でぶつからない」(前回は座る場所も無く、結構ちょくちょく人にぶつかった)といったあたりが明確に違っていた。今回某社のマーケティングディレクタが、念願かなってET2017に初参加された(前回までは他国のイベントとバッティングして来日出来なかったそうだ)のだが「なんか聞いてたのと違う」。前回までのET展だと、本当に通路に人があふれている感じで、そうした光景を見てみたかったらしい。さて、次回の2018年はどうなるのだろうか?
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