最適なバーコードリーダーの選び方:いまさら聞けない工業用バーコードリーダー入門(5)(2/2 ページ)
製造現場におけるワークや工具の管理など、自動化の大前提として工場を支えている工業用バーコードとバーコードリーダー。本連載では工業用バーコードとバーコードリーダーの基礎的な知識をおさらいします。最終回となる第5回は最適なバーコードリーダーの選び方について紹介します。
どういう用途で使うのか
どういう環境でバードコードリーダーを使うのかという点も重要な判断指標となる。コンベヤーの上を高速で移動するさまざまなサイズの箱を読み取る場合には小型の固定式リーダーが最適となる。一方で、港や工場などで到着した資材や、出荷する製品の上げ下ろしをする作業者が個々にチェックする場合は、ハンドヘルド型のコードリーダーが理想的だろう。これらのように、実際の環境でどういうプロセスで認証作業を行うのかという点を考えることが重要である。
総所有コスト(TCO)をどう捉えるか
読み取り率がコストに及ぼす影響を定量化するには、バーコードリーダーがバーコードを読み取れなかった場合に何が起こるかを理解することが重要となる。「読み取り不可」状態になった場合、パッケージを別のステーションに移動してオペレーターが手作業で情報を入力するか、または不良バーコードを交換して、パッケージを仕分けシステムに戻す作業が発生する。このようなエラーの結果、人件費がかさみ、自動仕分け装置の効率が低下する。
読み取りエラーの影響を分かりやすく説明するため、1日に12万5000個の荷物を処理する大型物流センターを例とする。このセンターで画像処理式のコードリーダーを採用し、読み取り率を99%から99.9%に引き上げることができれば、1日あたり1100件以上の読み取りエラーを回避できる。読み取り不可となった荷物のリワークに必要な時間を平均1.5分、1時間当たりの人件費を15ドルとすると、結果として1年に約15万ドルもの人件費を節約できるようになる。
自動仕分けシステムラインに対象物があふれている場合は、耐久性を計算に入れるとメンテナンスコストは取得コストをはるかに上回ることになる。そのため、工業用アプリケーションにコンシューマーグレードのソリューションを選択したのではコスト削減は達成できないという計算になる。こういう場合は、最初から故障点を最小化するように設計されている堅牢なソリューションを選択するべきだといえる。
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