最適なバーコードリーダーの選び方:いまさら聞けない工業用バーコードリーダー入門(5)(1/2 ページ)
製造現場におけるワークや工具の管理など、自動化の大前提として工場を支えている工業用バーコードとバーコードリーダー。本連載では工業用バーコードとバーコードリーダーの基礎的な知識をおさらいします。最終回となる第5回は最適なバーコードリーダーの選び方について紹介します。
前回の「バーコードリーダーの種類と特徴」では、工業用バーコードリーダーの種類について紹介した。最終回となる今回は、最適なバーコードリーダーの選び方について紹介する。
製造現場などで最適に個体認識を実現し業務効率を改善するためには、最適なバーコードリーダーを選択することが必要となる。最適なバーコードリーダーを選択するためには、コード読み取りアプリケーションを調べることが重要だ。「どのような種類のコードを読み取るのか」「ラインの速度はどの程度で、どの程度の耐久性が必要なのか」「リーダーはどこに設置するべきか」「その際の物理的な制約には何があるのか」「通信はどうするか」など、さまざまな項目を検討しなければならない。ただ、検討が必要なことはそれだけではない。
どのバーコードを使うのか
現在の在庫管理やトラック&トレースアプリケーションで求められるデータサイズは数キロバイトクラスであり、1次元バーコードが最も合理的な選択肢となる。
ただ、運用の規模と複雑さが増すと必要なデータサイズは必然的に大きくなる。将来的により複雑なオペレーションを想定する場合や、新たな要件を考慮に入れる場合などは、2次元コードなど、よりデータ量の多いコードには利点がある。
現状で流通チャネルを自社で所有していたとしても、事業の成長や顧客エリアの拡大により外部の物流会社を使用せざるを得なくなると、コードのマーキング品質をコントロールできなくなるなどのケースも発生する。こういう場合にも、損傷したコードなどの読み取り精度も高い画像型のコードリーダーを利用する価値が生まれるだろう。優れたテクノロジーに投資することにより、将来における機器のアップグレードを最小限に抑えることができるともいえる。
読み取り率はどの程度必要か
費用対効果の面では1次元バーコードが最適だと考えても、使われる現場環境とそれにより作業効率の停滞を考えれば、2次元コードを使った方がよいという場合も生まれる。
製品のデータ要件や形状、サイズが1次元バーコードソリューションに適していても、サプライチェーンではざらざらしたコンベヤーホイール、鋭利な金属備品、汚い手袋などが、機械が読み取るコードにシミや傷をつけたり品質を低下させたりする可能性がある。この場合、不良コードにより読み取り率が低下し、リワークが増え人件費の上昇につながることになる。紙やプラスチックのパッケージだけでなく、金属に刻まれたコードもゆがみや損傷の可能性がある。
サプライチェーンの精度維持が重要な場合は、リーダーがプリンタから出てきたばかりの完璧なコードだけでなく、傷があったり低コントラストだったりするなど、ノイズの多いコードも読み取れることを確認する必要がある。そういうシビアな環境であるならば、エラー訂正機能がある2次元コードを採用し画像処理式のバーコードリーダーを採用すべきだといえる。
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