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日本仕様のAUTOSAR準拠SPFを先行販売、2019年に市販モデルで採用ET2017(2/2 ページ)

車載ソフトウェアの業界標準として定着が進みつつあるAUTOSARに対し、開発の効率化を実現するとともに日本品質を盛り込む活動を続けるAPTJが、AUTOSAR準拠のソフトウェアプラットフォームを開発し、先行販売を開始する。

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Julinar SPFの先行販売を開始

 APTJでは2015年の設立後3年間の計画でAUTOSAR仕様準拠のSPFの開発を進行し、2018年9月に正式販売を開始する計画を発表している。2016年11月にはサービス名を「Julinar」と決定したが、新たにパートナーソフトウェア企業6社(富士ソフト、サニー技研、菱電商事、東海ソフト、キヤノンITソリューションズ、ヴィッツ)を通じて先行販売を開始することを決めた。

 高田氏は「最終的にはBSWモジュールおよびRTEジェネレーターの全域を対象とした開発を進めているが、技術や要件の変化は早く、完成した部分からだけでも順次世に問うていくべきだと考えた」と先行販売の狙いについて述べている。

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APTJで開発中のBSWモジュール(クリックで拡大)出典:APTJ

 「Julinar SPF」の特徴としてはまずはAUTOSAR仕様に忠実な設計であることが挙げられる。高田氏は「車載ソフトウェアでは各モジュールを複数のソフトウェアベンダーが開発するケースもよくある。ソフトウェア間で緻密な同期や連携が必要であることを考えると、仕様に忠実な設計は必須である。現在存在するAUTOSAR準拠SPFなどでは必ずしも仕様に忠実でないものもあり、開発における負荷を増やしている場合もある。仕様書を徹底して読み込み、全てにおいて忠実なSPFを一から作り上げている」と力を込める。さらに、ISO26262に基づく機能安全プロセスを構築し「ASIL-D」に対応する他、名古屋大学で知見のあるリアルタイムOS技術などを盛り込んでいる。

 AUTOSARに関するコンサルティングやトレーニング、インテグレーション支援などについてはパートナーソフトウェア企業と共同で実施するという。

新たな国際標準の構築も視野に

 今後に向けては、まずはJulinar SPFの正式版のリリースに向けて開発を進める他、共同開発サプライヤーのECU開発の支援を行う。高田氏は「既にECUの開発には取り掛かっており、2019年中には新たなSPFで開発したソフトウェアが搭載されたクルマが市場に出る予定だ」と述べる。

 同時にAUTOSAR仕様に対しても発信を進めていき、国内の自動車メーカーやサプライヤーのニーズに合致するような解釈や修正を加えていくとしている。APTJでは2017年2月にAUTOSARプレミアムパートナーとなっているが「AUTOSAR仕様そのものがまだまだ曖昧で抜けているようなところも多い。まずはこれらの修正などの提言に取り組んでいく」と高田氏は語る。

 さらにJulinar SPFの正式リリース後の2018年10月以降を第2フェーズと位置付け、日本発の国際標準なども発信していく方針だ。高田氏は「車載ソフトウェア領域においても国際標準として定まっていない領域はまだまだ多い。名古屋大学およびTOPPERSプロジェクトなどで開発してきたリアルタイムOSのパーティショニング技術や機能安全、仮想化技術、ダイナミックマップ技術など、世界に発信できる余地はあると考えている」と今後の取り組みを語っている。

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