自動車部品サプライヤーがファクトリーIoTソリューションを導入:製造IT導入事例
日本ヒューレット・パッカードは、自動車部品などの製造を手掛けるヒロテックがエッジコンピューティングシステム「HPE Edgeline IoT Systems」を中心としたファクトリーIoTソリューションを導入したと発表した。
日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2017年10月17日、国内外の自動車メーカーのドアや排気システムなどの製造を手掛けるヒロテックが、HPEのエッジコンピューティングシステム「HPE Edgeline IoT Systems」を中心としたファクトリーIoT(モノのインターネット)ソリューションを導入したと発表した。
ヒロテックでは、機械のダウンタイムを減らして生産性向上を図るため、生産システムのモニタリングおよびデータのリアルタイムな収集、分析を実現するファクトリーIoTソリューションの導入を検討。ファクトリーIoT用ハードウェアとして最適化されたHPE Edgeline IoT Systemsの採用を決定し、米PTCのIoTプラットフォーム「ThingWorx」と組み合わせ、現場でのデータ集積や分析、機器やIoT製品の制御に取り組んだ。日本でのシステム構築サポートは、日本システムウエアが担当した。
排気系の検査工程では、HPE製サーバを現場に設置。データを遠隔地のデータセンターやクラウドに送信する場合に比べ、より信頼性の高いリアルタイム分析や遠隔地からの可視化を可能にした。同工程では、ロボットデータや力覚センサー、レーザーセンサー、カメラによる検査結果データを収集している。
同ソリューションの導入によりヒロテックでは、生産設備の重大なシステム故障を予測、防止することで、生産設備のパフォーマンスに関するより深い理解を得たという。また、現場でのリアルタイムなデータ分析を通じて、そのパフォーマンスを改善する活動を開始した。
ヒロテックではさらに、自動ロボット監視システム全体でのリアルタイム可視化と自動ペーパーレスレポート生成に取り組んでいる。生産システムを人がチェックする時間を削減し、プロセス内のボトルネックを解消した。今後は同ソリューションを自動車ドア生産ライン全体に拡張し、AR(拡張現実)アプリケーションを活用して製造能力と効率をさらに進歩させるソリューションを構築する予定だ。
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