トラックやバスが高精度地図更新の主役? 三菱電機が簡易版測量システムを開発中【訂正】:東京モーターショー 2017
三菱電機は「第45回東京モーターショー 2017」において、自動運転に用いる高精度地図向けの測量システム「モービルマッピングシステム(MMS)」の簡易版「MMS ライト」を紹介した。
三菱電機は「第45回東京モーターショー 2017」(プレスデー:10月25〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日)において、自動運転に用いる高精度地図向けの測量システム「モービルマッピングシステム(MMS)」の簡易版「MMS ライト」を紹介した。
【訂正:2017年11月7日16時 記事中で「レーダー」とあったのは「レーザー」の誤りでした。大変申し訳ございません。】
バンボディーのトラックの上部やバスの車体の上部に設置し、高精度地図の更新用データを収集する装置だ。MMS ライトを日本中で走るトラックやバスに搭載することで、道路の変更点に関するデータを早期に収集して高精度地図に反映することを目指す。
日本では、三菱電機も出資する高精度地図の事業会社「ダイナミックマップ基盤」が2018年度までに日本国内の高速道路合計3万kmの高精度地図を整備する計画だ。「高精度地図の更新手段は、地図の完成と同時にそろっているべきだ。さもなければ、せっかく完成した高精度地図の鮮度を保てない」(三菱電機の説明員)とし、早期にMMS ライトを製品化する考えだ。
MMSは車両にGPSやカメラ、レーザーなどを搭載し、走行しながら絶対精度10cm以内の高精度な3次元計測ができる。広視野角カメラを車両の周囲に6台、レーザーは前後の上方と下方をそれぞれ測定するため4台搭載している。三菱電機では、小型車にも搭載できるよう改良を進めてきたが、高精度地図の更新で日本中を走らせるには製品のコストが高過ぎるのが課題だった。
MMS ライトは、MMSと比較して使用するセンサーの数を減らし、高精度地図の更新に必要な点群データの取得に特化させる。高精度地図を一から作成する場面では、高精度でセンサーの搭載数も多い通常のMMSを用い、両製品を使い分ける。
MMS ライトのセンサーの構成はレーザーとGPSで「カメラが必要かどうかを検討中」(三菱電機の説明員)だとしている。「カメラがあれば標識の形など、レーザーの性能によっては識別しきれないところまでデータを得られる。ただ、レーザーの性能を上げれば物体の形まで捉えることもできる。目的は高精度地図の更新のためのデータを収集することなので、軽いデータから差分を抽出でき、ほぼリアルタイムにデータを高精度地図に反映できるよう、更新作業の負担が少ないことも重要だ。そのために、レーザーにどのようなスペックが必要か、カメラはあるべきか、検討を進めている」(三菱電機の説明員)。
高精度地図の更新、他社もさまざまな方式を検討中
高精度地図の更新に関して、Robert Bosch(ボッシュ)はミリ波レーダーとカメラを用いる方針だ。ミリ波レーダーのデータをボッシュのクラウドに集めて加工し、ボッシュと提携するTom Tomやインクリメント Pといった地図会社がその加工データを高精度地図に取り込む仕組みだ。
ミリ波レーダーは多くの量産車に採用された実績があり、今後も運転支援システムや自動運転向けに間違いなく搭載が増える。一方、ライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)は普及まで時間がかかる見込みで、カメラから得られる画像データのみで高精度地図を作成すると必要なデータ容量が大きくなってしまう。こうした理由から、ボッシュはカメラとミリ波レーダーで得たデータから高精度地図を更新しようとしている。
この他にも高精度地図の生成では、パイオニアとHEREはライダーを、トヨタ自動車は車載カメラとカーナビゲーションシステムのGPSを使うなど、さまざまな方式が検討、開発されている。
三菱電機の説明員は「同じ高精度地図が完成するなら、データを得る手段はどんなものでも問題ない。しかし、完成する地図がそれぞれ違ってきてしまうと、更新の作業に負担が生じる。うまく協調しなければならない」と述べた。
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