検出距離2倍の近接センサーと取り付け治具で稼働率10%を向上:FAニュース
オムロンは、検出距離が従来比約2倍の次世代近接センサー「E2E-NEXT」と取り付け治具「e-治具」を発売した。年間約1600時間もの設備停止時間のうち、約173時間を削減できるとしている。
オムロンは2017年10月2日、検出距離が従来比約2倍の次世代近接センサー「E2E-NEXT」と取り付け治具「e-治具」を発売した。価格は、「長距離タイプ」が7700円から、「スパッタ対策 長距離タイプ」1万1900円からとなる。
E2E-NEXTは、同社独自の「サーモ・ディスタンス・コントロール技術」とアナログデジタルハイブリッドIC「PROX2」を搭載。出荷時に外部から温度補正値を書き込むことができ、温度変化の影響を最小限に抑えて安定的な長距離検出に対応した。検出距離を長距離化したことで、ワークとの衝突を回避し、設備停止リスクを低減できる。
e-治具は、センサーヘッドの交換時に取り付け位置をワンタッチで固定できる。e-治具にはめ込むだけで同じ位置に取り付けられるため、近接センサーの交換時間を従来の約10分から10秒に短縮した。これにより、故障箇所の確認や装置の一部解体、センサー交換、配線、動作確認といった一連の復旧作業を平均約60分から約50分に短縮し、年間約1600時間もの設備停止時間のうち、約10%の約173時間を削減できる。
自動車や自動車部品の工場では、1時間の設備停止が1000〜6000万円の大きな機会損失につながる。オムロンによるエンジン部品の製造現場の調査では、突発的な設備停止が年間約1600時間発生し、そのうち約15%の約240時間が近接センサーと検出物体との衝突や誤動作が原因であるという。従来の技術では、周囲の温度変化によって検出の安定性が損なわれるため、長距離検出は困難だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先
ドイツのインダストリー4.0がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだ。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待される。 - 製造業のサービス化、予兆保全は単なる「はじめの一歩」
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第7回は、前回に引き続き「製造業のサービス化」についてご紹介します。 - 計画保全と品質保全で工程の信頼性と保全性を目指す
本連載「いまさら聞けないTPM」では、TPM(Total Productive Maintenance)とは何か、そして実際に成果を得るためにどういうことに取り組めばいいかという点を解説する。第4回となる今回は、「TPMの8つの活動(8本柱)」のうち計画保全と品質保全について紹介する。 - モーションセンサーデバイスとは何か
音声やジャスチャーといった、人間の自然な振る舞いでコンピュータを操作できる「NUI(Natural User Interface)」。近年、このNUIを実現するさまざまなモーションセンサーデバイスが登場し、組み込み機器開発においても注目されている。本連載では、モーションセンサーデバイスとNUIの基礎、各センサーデバイス製品の特徴などを詳しく解説する。 - 機械の稼働率より人の作業の効率化、優秀な人材は国外からもどんどん呼べ
東大阪市にある町工場で、ミャンマー、ベトナム、タイ、ネパールなど8カ国の外国人が働いている。1929年(昭和4年)に給湯器メーカーとして東大阪で創業した三共製作所だ。3代目社長の松本輝雅氏は、中量多品種の製造を効率よく行う独自の工夫と営業力で安定経営を続けている。今回は同社 松本社長の経営哲学を取材した。 - 製造業をカイゼンできるのはIoTだけじゃない、“からくり”がもたらす安全と効率
ロボットを導入するのは難しいが、手作業では効率化や安全性に課題がある……生産ラインのそんな困りごとを解決するのが「からくり」だ。動力に頼らず、ワークの自重やシンプルな動きを利用することで、安全に効率を高められる。知恵と発想がつまったからくりの数々を紹介する。