三菱自は2019年に販売台数を4割増の130万台に、設備投資や研究開発費も大幅増:製造マネジメントニュース
三菱自動車は、2019年度を最終年度とする中期経営計画「DRIVE FOR GROWTH」を発表した。2019年度に売上高を2016年度比3割増の2兆5000億円に、販売台数は同4割増の130万台を目指す。営業利益率は2016年度の0.3%から6%以上に引き上げる目標だ。
三菱自動車は2017年10月18日、東京都内で会見を開き、2019年度を最終年度とする中期経営計画「DRIVE FOR GROWTH」を発表した。2019年度に売上高を2016年度比3割増の2兆5000億円に、販売台数は同4割増の130万台を目指す。営業利益率は2016年度の0.3%から6%以上に引き上げる目標だ。
新型車は3年間で11モデルを投入する。これに合わせて過去3年の水準を大きく上回る水準で研究開発投資や設備投資を実施し、過去の中計でも伸び悩んだ新車販売の台数成長につなげていく。
会見に登壇した三菱自動車 CEOの益子修氏は「新中計は2016年4月に明らかになった燃費不正に対する信頼回復に努める期間。失った信頼が全て回復できたとは思っていない」と説明。また、燃費不正を受けて営業利益率が0.3%まで落ち込んだ収益をV字回復の軌道にのせる期間と位置付ける。ルノー・日産アライアンスの一員としてシナジーを創出する2020〜2022年に向けた基盤づくりを進める。
新型車の成功が目標達成を担う
2017〜2019年度の3年間で、商品の刷新と中核市場への注力、コスト最適化の3つの戦略的施策を推進する。
商品はSUVやピックアップトラックのラインアップを強化し、既に発表済みの「エクスパンダー」「エクリプス クロス」を含む11モデルを投入する。11モデルのうち、6車種が新型車もしくはフルモデルチェンジとなる。2020年以降は軽自動車を含む主力モデルに電動パワートレインを設定する。
11モデルはいずれもアライアンスに参加する以前から開発がスタートした車両となる。「新型車の成功なくして目標の達成はあり得ない。不正の中でも現場が開発を諦めなかったクルマをうまく立ち上げたいという強い思いで臨む。クルマづくりの自信も取り戻したい」(益子氏)。100万台前後で推移してきた販売台数を130万台まで増やすため、設備投資は年間1370億円、研究開発費は1330億円を投じる。売上高に占める比率は設備投資、研究開発費ともに5%超で、売上比3〜4%台だった従来よりも高水準となる。
グローバル販売台数の7割は、主力5車種と位置付ける「アウトランダー(PHEV含む)」「RVR/ASX/アウトランダースポーツ」「トライトン」「パジェロスポーツ」やエクリプス クロスでカバーする。2019年度の販売台数目標では90万台以上に相当する。
販売台数130万台に向けて、主力地域、注力地域、回復地域の3つに分けて販売を強化する。主力地域となるのはこれまでにも高いシェアを築いてきたオセアニアとASEAN。注力地域は市場規模が大きい北米と中国、回復地域は日本とした。主力地域は2016年比42%増、注力地域は同70%増、日本は同38%増を目指す。
オセアニアとASEANではシェア10%を目指す。インドネシアの新工場やエクスパンダーの投入が成長を主導するとしている。
米国を皮切りに販売事業の強化も進める。2019年度には米国で30%増となる13万台に販売台数を増やすため、エクリプス クロスとアウトランダーPHEVを投入してラインアップを充実させるとともに、販売店も増やしていく。「販売店の数を増やすだけでなくレベルアップも図り、質と量の両方で販売網を強化する。われわれの米国での販売台数は多くないので、ある程度増やしていくのは難しくないのではないか。アライアンスの日産自動車との協力よりも、自分たちの力で伸ばしていこうと考えている」(益子氏)。
中国ではアウトランダーやエクリプス クロスの投入でプレゼンス強化を図る。ディーラー網も倍増する。日本は販売網と商品ラインアップを強化し、黒字化を目指す。「デリカ D:5」の全面改良や新型軽自動車の投入を新中計の期間中に予定している。
新車販売台数の拡大に向けて積極的な投資を行うが、生産や物流、完成車の輸送を含めたモノづくり総コストを年間1.3%削減し、コストの最適化を図る。ルノー・日産アライアンスの一員として共同購買や研究開発でのシナジー効果を創出していく。新中計の期間で1000億円以上の効果を生み出していく目標だ。
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