「IoTの上流から下流まで全てをつなぐ」、ウフルの「enebular」が新展開:製造業IoT
ウフルは、IoTオーケストレーションサービス「enebular」のエンタープライズ・プランを発表した。同プランでは、enebularの機能に加えて、同社が高い評価を得ているコンサルティングサービスやインテグレーションサービスを組み合わせ、製品企画から運用の最適化まで包括的に支援する。
ウフルは2017年10月18日、東京都内で会見を開き、IoT(モノのインターネット)オーケストレーションサービス「enebular(エネブラー)」のエンタープライズ・プランを発表した。同プランでは、enebularの機能に加えて、同社が高い評価を得ているコンサルティングサービスやインテグレーションサービスを組み合わせ、製品企画から運用の最適化まで包括的に支援する。enebularにおけるIoTのデータフロー設計など開発の機能は従来通り無償で、商用化に必要なIoTデバイスを運用するための機能はデバイス数などに応じて有償で提供。2018年1月からサービス提供を始める予定だ。
ウフル 社長の園田崇氏は「世の中には無数のデータがあるが、データが互いに出会わなければ何も生まれない。enebularのエンタープライズ・プランを使えば“生み出す”ことが可能になる」と語る。また、同社 専務執行役員の八子知礼氏は「enebularのエンタープライズ・プランは多数の機能を有しているが、コンサルティングの段階から事業化に至るまでIoTの上流から下流まで、全てをつないでいくことに主眼を置いていることが最大の特徴になる」と説明する。
「エッジでできることはエッジで、クラウドしかできないことはクラウドに」
enebularエンタープライズ・プランの中核に当たるenebularは、クラウド、ゲートウェイ、デバイスというIoTを構成する3つのレイヤーにデプロイ(配置・導入)した「アセット」を相互に連携させられるサービスだ。ここでいうアセットとは、ロジックやデータフロー、AI(人工知能)モデルなどIoTに欠かせない要素で、これらをレイヤーをまたいで等価的に連携できることがenebularの特徴になる。
開発環境は、GUIベースでデータフローを設計できるNode-REDなどのオープンソース資産を活用してエッジからクラウドまで一元化されており「Unified Development」をうたっている。また、ARMのデバイス管理技術「Mbed」にも対応しており、広く利用されているARMプロセッサを用いたIoTデバイスの開発を容易に行える。
ウフル 専務執行役員 CTOの古城篤氏は「現状のIoTは全てのデータをクラウドに集約する枠組みが多いが、デバイスがインテリジェント化していけば、エッジとクラウドの分散協調が可能になる。enebularエンタープライズ・プランでは、エッジでできることはエッジで、クラウドしかできないことはクラウドに残すということができるようになっている」と説明する。また、Node-REDで設計するデータフローと同じくアセットとなるAIモデルについては、さまざまなAIプラットフォーマーとの提携に加えて、オープンソースのフレームワークに基づく機械学習モデルにも対応するなどして充実させていく。
これらenebularのIoTプラットフォームとしての機能だけでなく、ウフルのコンサルティングやインテグレーションサービスの組み合わせにより、開発プロセスで重視される「Time to Marketの短縮」、運用プロセスで重視される「TCOの削減」「新収益の創出」を可能にするとしている。
園田氏は、enebularエンタープライズ・プランの提案を注力する分野として「クラウドを活用してビジネスを起こそうとしている製造業」「公共施設やスタジアムなどさまざまな物理的資産を持つプレーヤー」を挙げた。また、事業方針については「IoTビジネスは1社でやろうとしてもできないのでパートナーが必要だ。そこで、素晴らしい実績を持つ日本の製造業と一緒になってグローバル展開を進めればと考えている。日本国内でのさまざまな取り組みは、当社のユースケースを説明するアクティビティーを示すものだ。今後は、米国をはじめ海外でもユースケースを広げていきたい」と述べている。
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