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日本版第4次産業革命が進化、製造含む5つの重点分野と3つの横断的政策(後編)製造業IoT(3/3 ページ)

経済産業省は2017年3月に発表した日本版の第4次産業革命のコンセプトである「Connected Industries」を進化させる。より具体的な取り組みを盛り込んだ「Connected Industries 東京イニシアティブ 2017」を新たに発表した。前編では横断的政策について説明したが、後編では重点5分野の取り組みを紹介する。

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プラントやインフラ保安に向けた取り組み

 プラントやインフラ保安領域では、多くのプラントで老朽化が進む他、ベテラン作業員が引退の時期を迎えつつあり、今後重大事故のリスクが増大する可能性が指摘されている。こうした状況に対し、IoT、ビッグデータなどを効果的かつ効率的に活用し、現場の自主保安力を高め、企業の「稼ぐ力」の向上を図ることが重要となる。

 ただ、現状では、国内のプラントおよびインフラ事業者ではデータの利活用が十分に進んでいない。こうした背景から、石油精製・化学業界においては、IoTなどを活用した自主保安技術向上のための実証事業を事業者ごとに実施。また、電力業界においては、保守点検作業などの効率化のため、火力発電設備を中心に、各種センサーなどを活用した自主的な保安力向上の取り組みを業界で実施した。これらの他、規制の見直し(性能規定化、ポジティブ・インセンティブの導入)などにも取り組んできている。

 今後に向けては、規制の見直しや実証事業に加え、市場メカニズムを活用したイノベーション促進の仕組み作り(ESG投資・調達、システムインフラ輸出など)を進める方針。これにより、技術・社会・市場などを含めた「保安エコシステム」を構築し、自主保安力と生産性の双方を同時に向上させることを目指す。

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プラント・インフラ保安領域の分科会での具体的な取り組み(2)(クリックで拡大)出典:経済産業省

バイオ、素材分野の取り組み

 バイオ、素材分野については、2030年に世界バイオ市場が200兆円規模に拡大する予測がされるなど成長が期待されている。その中で、欧米では「戦略」を策定しバイオエコノミーへの転換が進められているが、日本では体系立てた取り組みが進んでおらず、対抗策が必要な状況となっている。

 企業などが保有する生物資源データの利活用の促進、バイオ素材の市場拡大に向けた適切な制度設計が求められる。また、デジタル社会の進展に伴い、ユーザーや消費者とのデータ連携による新事業領域の創出や素材開発力の強化(マテリアルズインフォマティクス)、次世代生産システムへの対応なども課題とされている状況だ。

 こうした状況に対し、「未来投資戦略2017」において、革新的バイオ素材の創出による健康・未病社会、炭素循環社会の実現に向け、政府戦略を策定し取り組む方針を示した。また、産学官連携によるデータプラットフォーム構築など研究開発事業を実施した。今後は協調領域に対するデータ連携の実現など、データフォーマットの標準化や国際標準対応なども含めた検討を進める。さらに研究開発だけではなく導入推進策や社会受容性確保に向け取り組みなども計画するという。

スマートライフに向けた取り組み

 スマートライフ分野では、人手不足や労働市場縮小に向けた対策として、家事などの無償労働領域をスマートライフ(ホーム)などの新たな製品やサービスに置き換えていく方針である。従来は省エネを軸とした電力の見える化などの取り組みとなっていたが、限定的な状況だった。ライフデータを有効活用したスマートライフ市場創出のためにはさまざまな環境整備が必要になっている。

 現在までにIoT推進コンソーシアムのデータ流通ワーキンググループ(WG)で、データ利活用に向けたガイドラインの検討などを推進した他、2017年度からスマートホーム検討会でつながる環境整備に向けて協調領域(データ連携、セキュリティ・製品安全、プライバシー)に関してのモニター実証を実施しているという。

 今後の取り組みとしては、企業によるデータや顧客の必要以上の囲い込みの解消や、個人情報に対する漏えいリスクを低減するために、データ連携による企業間アライアンスを進める取り組みや、分野横断的な協調領域(データポータビリティ)の整理およびガイドラインの策定などを進めていくとしている。

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