センシングの特等席はランプの中? 自動運転時代のセンサー内蔵型ランプ:CEATEC 2017
小糸製作所は、「CEATEC JAPAN 2017」において、ライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)を内蔵したヘッドランプとリアランプを展示した。2023年ごろの採用に向けて開発を進めている。
小糸製作所は、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、幕張メッセ)において、ライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)を内蔵したヘッドランプとリアランプを展示した。ライダーだけでなく、カメラやミリ波レーダーも内蔵できるとしている。一般道での自動運転に対応した車両が市場投入される2023年ごろの採用に向けて開発を進めている。
同社は自動運転技術の高度化によってランプが不要になる可能性も視野に入れ、ランプの付加価値向上に取り組んでいる。「自動運転技術が高度化しても、暗い場所を自動運転車がライトも点けずに走っていると不安を与えるので、ランプ不要とまでは行かないと予測している。ただ、ランプが存在を示すために点灯さえすればよいという流れになると単価下落が避けられない。そのため、付加価値を持たせる開発に取り組んでいる」(小糸製作所の説明員)。
センサーをランプに内蔵することで、ボディーのデザイン上の制約が少なくなる他、「車両の一番端の鼻先からセンサーが監視できるようになるので、視界の悪い場所でのセンシングにメリットがある」(同社の説明員)。また、ヘッドランプのクリーニングによってクリアな視野が保たれる点もメリットの1つだとしている。
実用化に向けて課題となるのは、ランプに内蔵することによる熱対策と、ライダーの小型化だ。「光源のLEDで熱対策の経験はある。ライダーはモックアップ等を入手してみたが、カメラやミリ波レーダーと比較すると、ランプに内蔵するにはまだサイズが大きい。センサーメーカーの小型化に期待している」(同社の説明員)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ヘッドランプ進化の歴史、シールド式からハロゲン、HID、LED、そしてレーザーへ
自動車が夜間走行する際に前方を照らすとともに、その存在を他の車両や歩行者に知らせる役割も果たすヘッドランプ。かつて北米で義務付けられていたシールドビーム式から、ボディ内部に格納できるリトラクタブル式、ハロゲン、ディスチャージ、近年採用が拡大しているLED、そして次世代技術のレーザーまでを総ざらえする。 - 次世代光源のレーザーは「全ての項目でLED上回る」
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、大阪大学、島津製作所は、3原色の可視光半導体レーザーを用いた光源モジュールの開発成果を発表。ヘッドマウントディスプレイやプロジェクタ、照明、自動車用ヘッドランプなどの製品に搭載し、「ほぼ全ての項目でLEDに対する可視光半導体レーザーの優位が明らかになった」という。 - 小糸製作所が世界初のオートレベリングシステム、加速度センサーで光軸を制御
小糸製作所は、「人とくるまのテクノロジー展2016」において、「世界初」(同社)とする加速度センサーを使ったオートレベリングシステムを披露した。ダイハツ工業の軽自動車「キャスト」などに採用されている。 - 運転に慣れている人にこそ、意外と役立つ運転支援システム
2009年まで、日本では衝突する前に完全に停止する自動ブレーキが法規制で認められていなかったが、今や部分的ながら自動運転システムも利用されるようになった。後編では、ステレオカメラをはじめとするさまざまなセンサーのおかげで実現した、自動ブレーキ以外の機能について紹介する。 - LEDヘッドランプの高度な制御技術の開発を支援、オン・セミコンダクター
オン・セミコンダクターは、「オートモーティブワールド2016」において、対向車の位置に合わせてLEDヘッドランプを部分的に消灯する「スマートヘッドライトソリューション」を出展した。複数のLED素子を個別に点灯/消灯させる「LEDピクセルコントローラー」は2016年内にも量産を開始する。