加速するスマート工場化、その手前で考えておかなければならないこと:いまさら聞けない第4次産業革命(17)(3/3 ページ)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第17回となる今回は、あらためてスマートファクトリーへの取り組みと顕在化する課題などをまとめたいと思います。
製造するモノを選ぶスマートファクトリー
いろいろある選択肢の中で、グーチョキパーツでは人手領域を自動化設備に置き換える「自動化領域の拡大」というアプローチを進めようとしたようです。
人手の領域をデータ化するために、あまりよく分からないウェアラブル機器を付けるのも心配だったので、まずはできるところから自動化領域を増やそうと思ったんですが、それが全然うまくいかなくて。
何がダメだったの?
うちの製品に合うロボットや設備がないんですよ。特にコストが全く合わなくて。
なるほどね。高過ぎるというわけね。
そうなんです。ちょうど工程にはまるような装置がないので、ロボットで対応しようかと思ったんですが、現状で導入しようとしても全く価格が合わないんですよ。うちの製品は価格が高いものではないので、コストが回収できません。
生産するものが大きくて高額のものであれば、人に比べて高コストなロボットを導入したとしてもまだ採算性があります。しかし、比較的価格が手ごろな製品だとすると、現在人手で行っている生産活動をロボットで置き換えるには「安さ」が欠かせません。以前、コラム「自動化率向上のカギは“安くてボチボチのロボット”」でも書いていますが、現状ではこの「人手の作業を置き換えられる安くてボチボチのロボット」という領域がポッカリ空いているような状況です。
そのため人手領域の自動化が進まず、スマートファクトリー化についても生産製品が限られる状況が生まれているわけです。
従来の生産改善などの取り組みと同じで、汎用製品などを組み合わせて自分たちで開発しようとしていますが、なかなか道のりが長いという感じです。
確かにその部分のニーズはちょうど、誰も満たせていないという状況なのよね。「誰がその市場を満たすのか」という点には興味があるわ。
製造部門や生産技術部門に豊富な人員がいる製造業であれば、安くて簡単な設備であれば、自社開発するケースも多いと思います。しかし、それらを負担に感じている製造業も数多く存在しています。いち早くこうした中で汎用(はんよう)的なニーズを抽出し、製品化できれば新たなビジネスチャンスをつかむことができるかもしれません。
さて今回は、スマートファクトリー化に向けた課題についてあらためて、まとめてみました。次回は2017年10月3〜6日に開催予定のCPS/IoTの展示会「CEATEC JAPAN」の中から、気になった点をまとめたいと思います。
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