完全自動化で生産ラインの人員9割減、京セラが目指す生産競争力:メイドインジャパンの現場力(12)(1/2 ページ)
京セラドキュメントソリューションズは、トナーのマザー工場である三重県の玉城工場において、完全自動化生産を実現している。ポイントになったのは各工程間のサブアッシーや検査の自動化だ。生産ラインに必要な人員を10分の1にできた同ラインを取材した。
京セラドキュメントソリューションズは2017年6月に、カラートナーの開発から生産を行っている三重県の玉城工場(三重県度会郡玉城町)に第7工場を建設し、稼働を開始した。同工場で新たに導入した完全自動化ラインを取材した。
トナー生産のマザー工場
京セラドキュメントソリューションズは、京セラグループにおいて最大の売り上げ構成比を誇る複合機やプリンタなどの開発や生産、販売を行う子会社である。創業は1934年と古く、2000年に三田工業から事業を引き継ぐ形で京セラグループに入った。2012年に現在の京セラドキュメントソリューションズへと社名変更している。
玉城工場は1982年に設立。当初は複合機やプリンタなどの生産を行ってきたが、2014年にプリンタの機器生産を全て海外工場に移転させたことから、プリンタや複合機の消耗品であるカラートナーの開発や生産に特化したマザー工場としての役割を担うようになった。敷地面積は約10万m2、建設面積は約2万2000m2、延べ床面積は約3万6000m2である。
玉城工場では全世界の市場にトナーを供給するとともに、海外の複合機およびプリンタ工場にトナーを供給する。さらにマザー工場として、中国やベトナムなどの京セラの海外工場に対し、機器の生産用設備や治具の開発や供給、モノづくりノウハウなどの伝承や生産指導などの役割を担っている。今回新たに建設し、稼働を開始したのが第7工場だ。
新たに建設した第7工場
玉城工場内に新たに建設した第7工場では、複合機などの消耗品となるカラートナーコンテナの生産を行っている。第7工場の特徴は、トナーコンテナの樹脂成形から組み立て、トナー充填(じゅうてん)、梱包(こんぽう)までの全工程を全て自動で行っている点である。
第7工場の自動生産ラインで生産するカラートナーは、京セラドキュメントソリューションズの新たなケミカル製法により、コア材に薄膜シェル層を採用したことで、有機溶剤を不使用とし水の使用量を減らした新製法トナーである。京セラドキュメントソリューションでは、今後新製法トナーの対応製品を拡大する方針としており、玉城工場でのカラートナー生産能力を2020年までに倍増する計画としている。自動化ラインの採用により、新製法トナーの効率的生産を実現する狙いとしている。
京セラドキュメントソリューションズ 玉城工場 工場長 植原総一氏は「製品競争力の強化を進めていく上で生産性の向上やコストダウンは重要な要素だ。完全自動化ラインはさまざまなチャレンジがあった」と述べている。
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