最大リーチを2010mmへ拡大、大型・厚板製品に対応するアーク溶接ロボット:FAニュース
安川電機は、アーク溶接ロボット「AR」シリーズに可搬質量12kgの「MOTOMAN-AR2010」を追加した。従来機のロングリーチタイプで、最大リーチが1730mmから2010mmに伸長している。
安川電機は2017年9月4日、アーク溶接ロボット「AR」シリーズに、可搬質量12kgの「MOTOMAN-AR2010」を追加したと発表した。価格はオープンで、同年9月21日より販売を開始する。従来機「MOTOMAN-AR1730」のロングリーチタイプで、最大リーチが1730mmから2010mmに伸長。大型・厚板ワークの溶接や、長尺ワークの溶接に1台で対応できる。
MOTOMAN-AR2010は、ロングリーチの特長を生かすことで、ロボットの高密度配置によるライン短縮、サイクルタイム短縮による生産性向上など、次世代の製造ライン構築へのソリューションを提供する。世界各地で異なる電圧や安全規格にも対応可能なコントローラー「YRC1000」と組み合わせることで、ロボットの性能を最大限に引き出せる。
アームには、センサーケーブルやエアー配管をアーム内に収納可能な中空アームとスリムアームを採用。周辺設備とのケーブル干渉を気にせず、省スペースで設置できる。従来の最高速度制限を撤廃し、加減速制御の改善によりロボットの姿勢によらず限界まで加減速時間を短縮している。また、各軸速度性能の向上、ロボット手首軸の短縮による基本軸の移動量の最適化など、生産性を向上した。
さらに、丸みを帯びた耐環境デザイン、ロボット旋回軸上部のケーブル出口部の密閉構造、セットアップ時間の短縮、エラー箇所の特定の容易化など、機能性やメンテナンス性も高めている。
同社の最新型溶接電源「MOTOWELD-X350」との併用により、ロボット動作と波形制御の完全同期が可能になる。また、溶接トーチ角度変化に応じて適切な溶接波形調整を自動で行うシンクロウェルディング機能も搭載。交流ユニット「XACU」を組み合せることで、0.5mmまでの薄板に有効な交流の施工が可能になった。
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