デジタルツインを全てカバーするシーメンス、投資額は10年間で1兆円超に:製造業IoT(2/2 ページ)
シーメンスPLMソフトウェアのプレス・アナリスト向けイベント「Siemens Industry Analyst Conference」の基調講演に、シーメンスのデジタルファクトリー部門のCEOを務めるヤン・ムロジク氏が登壇。ムロジク氏は「デジタライゼーション(デジタル化)」と「デジタルツイン」の重要性を強調した。
「最も包括的なデジタルツインを生み出せるのはシーメンスだけ」
ムロジク氏は、製品の開発から生産、市場での運用といったライフサイクルを、「Idealization」「Realization」「Utilization」という3つのプロセスと、「Product design」「Product planning」「Production Engineering」「Production Execution」「Services」という5つのステップに分解した上で、「これらの全てをカバーしているのはシーメンスだけだ」と説明する。
全てを提供できるシーメンスだからこそ、3つのプロセスと5つのステップを緊密につなげられる。そこで重要な役割を果たすのが、コラボレーションプラットフォームになるPLMツールの「Teamcenter」であり、市場運用からのデータを開発や生産のプロセスにフィードバックするループを作り出すMindSphereである。
そして、5つのステップに対応するソフトウェア製品群も紹介した。「Product design」では、3D CADツール「NX」やCAEツール「Simcenter」、メンター・グラフィックスの製品群、新たに買収したTASS Internationalの製品を利用できる。「Product planning」では、Teamcenterや、製造ラインの設計ツール「Line Designer」、製造計画ツール「Tecnomatix」が用いられる。「Production Engineering」では、「Automation Designer」で自動生成したPLCコードを仮想空間内で最適化し、「TIA(Totally Integrated Automation)ポータル」につなげる。「Production Execution」では、TIAポータルとPLCの「SIMANTIC」をつなげて実際に動かし、生産を行う。そして「Services」では、生産した製品の情報をMindSphereで取得して、それを再度製品開発にフィードバックする。
ムロジク氏は「これらのプロセスとステップを通じて『製品のデジタルツイン』『生産のデジタルツイン』『パフォーマンスのデジタルツイン』が生み出される。そして、MindSphereによるフィードバックを含めて、最も包括的なデジタルツインを生み出せるのはシーメンスだけだ」と述べている。
「製品のデジタルツイン」「生産のデジタルツイン」「パフォーマンスのデジタルツイン」など最も包括的なデジタルツインを生み出せるのはシーメンスだけだという(クリックで拡大) 出典:シーメンスPLMソフトウェア
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