シーメンスPLMが描くインダストリー4.0の姿:スマートファクトリー(1/2 ページ)
シーメンスPLMソフトウェアはドイツの国家政策として進められているモノづくり革新「インダストリー4.0」に対する同社の取り組みについて説明。さらに「2015国際ロボット展(2015年12月2〜5日、東京ビッグサイト)」で展示するデモンストレーションの概要について明らかにした。
シーメンスPLMソフトウェアは2015年11月12日、東京都内で会見を開催。シーメンスPLMソフトウェア ポートフォリオ開発部 部長を務める山本広則氏が、ドイツの国家政策として進められているモノづくり革新「インダストリー4.0」に対する同社の取り組みについて説明した。
IoT(モノのインターネット)やICTを活用し、「つながる工場(スマートファクトリー)」の実現を目指すインダストリー4.0。このスマートファクトリーを実現する上で、ベースとなるのが「CPS(サイバーフィジカルシステム)」だ。CPSとは現実空間(フィジカル)におけるさまざまな情報を取得して仮想空間上に送り、コンピューティングパワーを活用してシミュレーションを行う。その成果を現実に戻して有効活用するという一連の仕組みのことだ。
インダストリー4.0におけるスマートファクトリーが目指すのは、CPSをベースにネットワークで全ての工場・製造設備がつながり、さらにバリューチェーン全体を考慮しながら、工場および生産ラインがリアルタイムで自律的に判断して最適な製品を作り上げる仕組みの構築だ。これにより、個々にカスタマイズされた製品を大量かつ低コストで生産する「マスカスタマイゼーション(多品種少量生産)」を実現する。
しかし工場および生産ラインがバリューチェーン全体を考慮し、自律的に最適な生産を行うためには、工場内システムの水平統合に加え、PLCなどのフィールドレベルのシステムから、ERPやMES、PLMなどの各レイヤーのシステムまでを垂直統合することが不可欠だ。
山本氏は「フィールドから経営層まで、スマートファクトリーを実現する際に各レイヤーで求められるソフトウェアをカバーしているのは、シーメンスPLMソフトウェアだけだ。しかし現時点で全てのシステムを統合することはもちろん実現できていない。全てのシステムを垂直統合する場合、セキュリティの課題も生まれる。さらに工場と工場がつながり全体最適化を行うためには、それらのデータを集約するクラウド基盤の構築も必要になる。これについてはSAPと開発を進めている」と述べる。
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