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高性能炭素繊維の創出に向けて開発設備を導入:工場ニュース
東レは、愛媛工場の敷地内に新たに炭素繊維開発設備を導入すると発表した。同設備により、環境配慮型製品向けの高性能炭素繊維を開発し、航空機をはじめ自動車、エネルギー関連産業にも用途を広げ、高付加価値製品として展開していく。
東レは2017年8月10日、愛媛県松前町にある愛媛工場の敷地内に、炭素繊維開発設備を新設すると発表した。稼働開始は2019年初頭を予定している。
同社では、環境配慮型製品向けに素材開発の強化を進めている。その一環として、炭素繊維を研究、開発、生産している愛媛工場に革新プロセス開発設備を導入し、高性能炭素繊維の創出を目指す。
新たに導入する設備では、炭素繊維T800Sの次世代グレードを創出し、T1100G(強度7GPa)からさらに高強度化を図った最高強度糸を開発する。同設備で開発した炭素繊維は、航空機をはじめ、自動車、圧力容器、風力や水素エネルギー関連産業にも用途を広げ、高付加価値製品として展開していく。
また、愛媛工場では生産性を改善する革新的な技術を開発し、炭素繊維の普及拡大と共に、さらなる高性能化とコストバランスの両立に取り組む。
炭素繊維は、燃費改善を課題とする航空/宇宙関連産業を中心として高性能化へのニーズが高まっており、自動車産業などにおいても急速に需要が拡大している。これらを背景として、炭素繊維の世界市場全体において、今後も年率約10%以上の伸長が見込まれている。
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