ロボットは輸出が絶好調、2017年4〜6月期は受注も生産も過去最高を達成:産業用ロボット
日本ロボット工業会によると2017年4〜6月期のロボットの受注、生産、総出荷の台数および金額は過去最高を達成した。中国向けを中心に輸出が絶好調で、今後も継続的に拡大が進む見込みだ。
日本ロボット工業会は2017年7月27日、2017年4〜6月期のロボットの受注、生産、出荷実績の統計結果を発表。それぞれで四半期ベースでは過去最高の実績を達成した。
日本ロボット工業会が発表している「ロボット統計受注・生産・出荷実績(会員ベース)2017年4〜6月期」は、ロボット工業会に所属する会員企業33社による実績をまとめたものだ。サービスロボットについては対象外としている。
受注、生産、出荷ともに過去最高を更新
統計によると、ロボットの受注台数は、前年同期比48.7%増となる5万6795台となり、7四半期連続のプラス成長。さらに四半期ベースで過去最高値を更新する結果となった。一方、受注額は、同41.5%増の2049億円となり、こちらも4四半期連続でプラス成長。加えて初めて2000億円を突破し過去最高値となっている。
生産台数については、同49.9%増の5万5472台となり16四半期連続でプラス成長と好調を持続。こちらも過去最高値となった。さらに生産額も同33.9%増の1733億円となり、2007年7〜9月期以来となる39四半期ぶりの過去最高値更新となっている。
総出荷台数も同51.1%増の5万5140台と16四半期連続のプラス成長となり、過去最高値となった。総出荷額も同様で、同33.2%増の1765億円となり、4四半期連続でのプラス成長。2007年7〜9月期以来の過去最高値を更新している。
国内の人手不足解消の手段として受注が活発化している他、中国向け需要が引き続き拡大を続けていることから、ロボット需要は今後もしばらく好調が持続する見通しだという。
国内出荷は堅調、中国向けが躍進
国内と海外それぞれの状況を見ると、国内出荷については、自動車産業向けだけでなく電気機械産業向けが堅調。出荷台数が同12.9%増の8613台と2四半期ぶりのプラスとなった。国内出荷額は、同15.4%増の408億円となり、15四半期連続のプラス成長となっている。一方で大きく伸びているのが輸出である。中国市場がロボット活用を拡大しており、輸出台数は同61.3%増の4万6527台。16四半期連続でプラス成長になるとともに、過去最高値となった。輸出額は、同39.7%増の1357億円となり、3四半期連続でプラス成長で、こちらも過去最高値となっている。
主要国の輸出推移としては、中国向けが大幅な拡大を見せており、輸出額としては同57.8%増の608億円となった。この数値は、過去最高額を大幅に更新するものとなっている。
輸出品目は、溶接用が堅調だった一方で、電子部品実装用が大幅に増加。同50.9%増の3354台となり、4四半期連続でプラス成長となった。さらに、出荷額は、同41.7%増の505億円となり、3四半期連続でプラス成長。中国向けの需要拡大が増加要因とされるが、来期以降もプラス成長が見込まれているという。
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