トヨタがPFNに105億円を追加出資、モビリティ向けAI技術の研究開発を加速:製造マネジメントニュース
トヨタ自動車とPreferred Networks(PFN)は、自動運転技術をはじめモビリティ事業分野におけるAI(人工知能)技術の共同研究・開発の加速を目的に、トヨタ自動車がPFNに約105億円を追加出資することで合意した。
トヨタ自動車とPreferred Networks(PFN)は2017年8月4日、自動運転技術をはじめモビリティ事業分野におけるAI(人工知能)技術の共同研究・開発の加速を目的に、トヨタ自動車がPFNに追加出資することで合意したと発表した。PFNが第三者割当増資により発行する株式をトヨタ自動車が引き受ける形で、約105億円の追加出資を行う。
両社は2014年10月から共同研究・開発を実施している。2015年12月には、関係強化を目的にトヨタ自動車がPFNに約10億円を出資している。これまでは、物体認識技術や車両情報の解析技術などについて共同研究・開発を実施してきたが、今回、両者の関係をさらに強化し、共同研究・開発を加速させるという。
PFNは、機械学習や深層学習(ディープラーニング)などのAI技術を中核とするベンチャー企業だ。特に、AIをクラウド上で動作させるのではなく、自動車や産業機械といった処理能力が限られるエッジ機器で効率よく動かす「エッジヘビーコンピューティング」をIoT(モノのインターネット)時代に最適なAIのコンセプトとして推進している。
外部からの資金調達では、2014年10月にNTTから約2億円、2015年9月にファナックから約9億円、そして2015年12月にトヨタ自動車から約10億円を得ていた。今回さらに約105億円を調達したことにより、トヨタ自動車との関係がより深まることは確実だ。
なおPFNは、今回の資金調達により、計算環境の拡充、優秀な人材の確保を進めるとしている。2017年7月24日に行ったプレス説明会では、人材確保に加えて、機械学習と深層学習に膨大な計算リソースが必要になることを訴えていた。
PFNの計算リソースは現在3P(ペタ)Flopsだが、近々10PFlops相当を追加する予定である。今回の資金調達は、これらの計算リソースの拡充にも充てられる見込み。また2019〜2020年には1エクサ(1000P)Flops近くの計算リソースを確保したい意向も示している。
関連キーワード
トヨタ自動車 | ディープラーニング | 機械学習 | 資金調達 | 人工知能 | 自動走行車 | Preferred Networks | 第三者割当増資 | 製造マネジメントニュース
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AI×IoTのブレークスルーを生み出すPreferred Networks、原動力は成長と多様性
ベンチャー企業のPreferred Networks(PFN)は、時代に先駆けてAIとIoTに着目することで一気に業容を拡大している。同社の原動力になっているのは、創業精神として今も続く「常に新しく技術を取り込んでいく成長」と「多様性」だ。 - 世界を変える機械学習、1兆個のIoTデバイスを誰がプログラムするのか
MONOistを含むITmediaの産業向け5メディアは、セミナー「MONOist IoT Forum IoTがもたらす製造業の革新 〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜」を開催。同セミナーのレポートを前後編でお送りする。 - 世界を変えるAI技術「ディープラーニング」が製造業にもたらすインパクト
人工知能やディープラーニングといった言葉が注目を集めていますが、それはITの世界だけにとどまるものではなく、製造業においても導入・検討されています。製造業にとって人工知能やディープラーニングがどのようなインパクトをもたらすか、解説します。 - 製造業IoTに新たなデファクト誕生か、ファナックらが人工知能搭載の情報基盤開発へ
ファナックやシスコシステムズら4社は、製造現場向けのIoTプラットフォームとして「FIELD system」を開発し、2016年度中にリリースすることを発表した。競合メーカーの製品なども接続可能なオープンな基盤とする方針。製造業IoTでは各種団体が取り組むが、ファナックでは既に製造現場に350万台以上の機器を出荷している強みを生かし「現場発」の価値を訴求する。 - インテルとPFNが協業、「Chainer」のパフォーマンスを大幅に向上へ
Preferred Networksが、同社のディープラーニング向けオープンソースフレームワーク「Chainer」の開発で、インテルと協業すると発表。インテルの汎用インフラ上で、Chainerのパフォーマンスを大幅に向上させるのが目的だ。 - Windows版Chainerのビルド済みバイナリを配布へ、「国内でのインパクト大きい」
Preferred Networks(PFN)と日本マイクロソフトがディープラーニングのコミュニティー「Deep Learning Lab」のキックオフイベントを開催。「Windows」や「Azure」といったマイクロソフト製品で、PFNのディープラーニングソリューションを使いやすくしていく方向性を示した。