ソラコムはKDDI傘下でも起業家精神失わず、日本発のIoTプラットフォーム構築へ:製造マネジメントニュース
KDDIは、IoT向け通信プラットフォーム「SORACOM」を展開するソラコムを連結子会社化する。KDDIグループに参画するソラコムだが、「起業家精神を失うことなく、日本発グローバルプラットフォームを作り上げる」(同社社長の玉川憲氏)という。
KDDIは2017年8月2日、IoT(モノのインターネット)向け通信プラットフォーム「SORACOM」を展開するソラコムの発行済株式を取得する株式譲渡契約を締結したと発表した。2017年8月下旬をめどにKDDIがソラコムの株式を取得し、連結子会社とする予定だ。出資額、出資比率などは非公開となっている。
KDDIによれば、今回の子会社化によって、ソラコム社長の玉川憲氏をはじめとする経営陣を変更する予定はなく、KDDIからソラコムへの役員の出向についても現時点では未定だとしている。また、「今後もソラコムが提供しているサービスは、既存のお客さまも新規のお客さまも、引き続き変わらずご利用いただけます」(ニュースリリースより抜粋)としており、KDDIの傘下に入ることで、ソラコムの経営方針や顧客が利用するサービスなどに大きく変化がもたらされることはないという。
KDDIは、トヨタ自動車のテレマティクスサービス「G-BOOK」や電力業界のスマートメーターなど、15年以上にわたってIoT/M2Mの回線サービスを提供してきた実績がある。ソラコムを傘下に加えることで「KDDIのIoTビジネス基盤とソラコムの通信プラットフォームの連携により、国内はもとよりグローバルにも通じるIoTプラットフォームの構築を強力に推進してまいります。加えて、これまで培ったIoT/M2Mにおける知見や顧客基盤を活用し、新たなIoTビジネスを創出してまいります」(ニュースリリースより抜粋)という。
玉川氏「ExitではなくEntrance」
玉川氏はソラコムのブログ「SORACOM Blog」で、KDDIグループへの参画についてコメントを発表している。玉川氏は「本発表は、日本発のテクノロジー・スタートアップとして2年半前に創業したソラコムにとって、大きなマイルストーンであり、非常にうれしく思います」と述べている。
ここで「大きなマイルストーン」としているのは、今回のKDDIグループへの参画が、ベンチャー企業の“上がり”の1つとされる「Exit(IPOやM&Aで初期の投資家にリターンを返すこと)」ではなく、「これまで単独では届かなかった領域に道を拓くEntrance」(玉川氏)と考えているからだ。
玉川氏は、日本におけるAmazon Web Service(AWS)の立ち上げに尽力したことで知られている。その同氏が、今回のKDDIグループへの参画について、「Amazonの中のAWSのように、KDDIの中のSORACOMとして、起業家精神を失うことなく、日本のみならず、世界中のお客さまに使っていただけるIoT通信プラットフォームビジネスに成長させていきたいと考えております」と語っている。このことからも、KDDIの力を得て、ソラコムのビジョンである「世界中のヒトとモノをつなげる」、ミッションである「クラウドとモバイルのテクノロジーで世界をよりよい場所に変えることに貢献する」をさらに推し進めていくことになりそうだ。
玉川氏はブログの最後に「日本発グローバルプラットフォームを作り上げる! テクノロジーイノベーションで、世界をよりよい場所にすることに貢献する!」という言葉を掲げており、今回のKDDIグループへの参画を第2の創業期に位置付け、挑戦を続けていく意気込みをみせている。
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