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CFRPのレーザー加工、課題は速度と価格、そして臭い光技術(2/2 ページ)

鍛圧機械や塑性加工技術の総合展示会「MF-Tokyo 2017第5回プレス・板金・フォーミング展」の記念講演に最新レーザー技術研究センター 代表取締役の沓名宗春氏が登壇。「レーザー加工の金型およびCFRPへの応用」をテーマにレーザー加工の特徴や今後の課題などを紹介した。

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CFRPのレーザーによる加工

 さらに、最近では自動車のボディーや航空宇宙産業で採用が拡大してきたCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics、炭素繊維強化プラスチック)のレーザー加工も進んでいる。

 CFRPのレーザー加工技術の研究開発は経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業に採択され、2009〜2011年の3年間は「CFRP複合材料部材の新レーザー溶接技術の開発」のテーマで進められた。また、2014〜2016年の3年間は「CFRP複合材料の高能率・高精度ハイブリッドレーザー加工技術の開発」として、研究開発が進められており、合計で6年間にわたって政府の支援による開発が行われている。

 CFRPの加工は、従来はダイヤモンド工具による切削加工や、研磨材を用いたウォータジェット切断、レーザー切断などにより行ってきた。しかし、ダイヤモンド工具は高価でしかも短寿命であり、ウォータジェット切断は微細な切断・穴開け加工が困難だった。また、レーザー切断も切断面の繊維が剥離しやすいという問題を抱えていた。

 それを新技術の考案により、切断・穴開けに加工に関しては、超短パルスレーザーおよび高出力シングルモードレーザーを組み合わせることで高速、高精度加工を可能にした。レーザー加工が困難だった10mmの厚みの材料に対しては、レーザー焦点を制御することで切断ができるようになっている。

 溶接に関しては、レーザーを活用すると、切断面がフラットで切断代が0.2mmであり、切断面のままの接合が可能となる。またモザイク状継ぎ手を採用し、合わせ板との併用で接手効率85%を狙っている。3次元加工では航空機パネルなどの曲面材料に対し、面に直角に切断・穴開け加工を行えるという。

 一方でCFRPのレーザー加工にはいくつかの課題も残されている。沓名氏はCFRPなど複合材料のレーザー加工の問題点として「加工速度をさらに向上させることと、各種繊維強化複合材料のレーザー加工データの蓄積が必要となる。また、低価格なレーザー加工装置の開発なども求められる。価格についてはできれば3500万〜4000万円程度でできるようにしていく。さらに将来を考えて標準化、技術基準の作成も必要だ。この他、炭素繊維をレーザーで切ると強い臭いが発生する。その対策をしないと工場に全体に広がるので、それらも対応していかなくてはならない」としている。

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