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山形から宇宙へ、宇宙市場で4.5倍成長を狙うOKIサーキットテクノロジーメイドインジャパンの現場力(11)(2/2 ページ)

国際的な宇宙ビジネス拡大を目指す法令の整備などが進む中、部品業界でも航空・宇宙領域がにわかに脚光を浴びている。その中で早期から航空・宇宙領域での実績を積み上げてきたのが、山形県鶴岡市のOKIサーキットテクノロジーである。

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ジュピタープロジェクトを推進

 日本アビオニクスからの事業移管作業は、2016年10月1日から開始。技術・設備移管や各種認定取得などを順次進めており、2018年3月31日までの完了を目指す。OKIサーキットテクノロジーでは現在、この作業を「ジュピタープロジェクト」と名付け、プロジェクトチームを組織して推進しており、そのチームの1つはJAXA認定範囲の拡充に取り組んでいる。宇宙産業向けに供給するには欧州ではESA(欧州宇宙機関)、米国はNASA(米国航空宇宙局)、そして日本ではJAXAなどの認定が必要だ。OKIサーキットテクノロジーの場合、国内向けの製品供給が主力となるため、JAXA認定範囲の拡充に力を注いでいる。

 JAXA認定には7つのカテゴリーがあり、同社が現在保持しているのは付則Bと付則Eの2つである。それも限られた範囲であることから「付則B、Eの範囲拡張を含めて付則A、B、E、G、H、D、Fまでの7認定を全て取得することを目指す」(同社)。これらの認定を取得するには、1000サイクル以上の熱衝撃試験など、各種の信頼性試験を含めた認定試験の実施や、報告書の作成、サンプルモデルの製作など、1年半の期間がかかるという。

 この他、プロジェクトチームには、移管された製品のユーザーへの対応を行うチーム、移管される製品を生産するため設備増強を行うチーム、プリント配線板の基板データの移行を担う作業チームなど、主に4つのグループが活動中だ。人員も技術、設計、製造、営業など部門の担当者が必要になるため、プロジェクトチームには10人以上を増員し、対応を進めているところだ。

2018年度までに約3億円を投資

 設備に関しては、2016年11月に1億円を投資して、めっきライン、エッチングラインを増設した。「既存設備にはない、ヒュージング(熱かしめ)装置やはんだめっきのパターン法の設備を導入した。今後は売上高拡大を図るための既存設備の増強を推進。2018年度の5〜6月にかけて日本アビオニクスの現行設備を移管する」(同社)としている。

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売り上げ拡大に向けて生産設備の整備が進んでいる

 例えば、設備の増強に関しては、積層工程のホットプレス装置を2017年5月に2台増やし10台に拡大。これに日本アビオニクスからの移管分を加えて12台に拡張するという。さらに、フライングプローブ(検査装置)も現状の19台から今後1台新たに増やす予定だ。テストクーポンなどを保存しておく倉庫も既に1棟建設しているが、さらにもう1棟を2017年10月に建設する。これらの投資額は2018年度にかけて1億5000万円程度を見込んでおり、これまでの約1億円に加えて、今回の移管を含めた投資総額は2億5000万〜3億円に達する見通しだ。

photophoto ホットプレス装置(左)とフライングプローブテスター(右)(クリックで拡大)

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