日本とチェコがインダストリー4.0推進で協調へ、チェコ首相「連携深めたい」:製造マネジメントニュース
日本とチェコがIoTとインダストリー4.0の推進で協調する。チェコ首相のボフスラフ・ソボトカ氏の来日に合わせて、ロボット革命イニシアティブ協議会とチェコ産業連盟の間で覚書を締結した。ソボトカ氏は「日本と、インダストリー4.0、ロボティクス、サイバネティクスを中心に連携を深めていきたい」と語った。
チェコ産業貿易省ビジネス投資開発庁(チェコインベスト)は2017年6月28日、東京都内において、チェコ首相のボフスラフ・ソボトカ氏の来日に合わせて記者会見を開催した。ソボトカ氏は「隣国であるドイツが提唱するインダストリー4.0をチェコでも推進していく。そして日本とも、インダストリー4.0、ロボティクス、サイバネティクスを中心に連携を深めていきたい」と語った。
チェコは、欧州の中心に位置する地理的な優位性に加えて、賃金が西欧諸国よりも低く、国民の教育レベルも高いこともあって多くの製造業が工場を設けている。日本の製造業も、トヨタ自動車、デンソー、ジェイテクトなどの自動車業界を中心に、パナソニック、ダイキン工業、東レなどが工場を展開。チェコインベストが支援を行ってきた外国の直接投資資金額の累計(1993〜2015年)で、日本はドイツに次いで2位であり、チェコにとって重要な投資国となっている。
2017年は日本とチェコの国交回復60周年に当たり、初来日したソボトカ氏はチェコ首相としても12年ぶりの来日となる。同年6月27日には、日本の首相である安倍晋三氏と首脳会談を行い、貿易/経済関係をさらに緊密化させていくことで一致している。
チェコは「国家インダストリー4.0イニシアチブ」を推進
ソボトカ氏が強調したインダストリー4.0については、2016年から国家戦略の1つの柱として推進する方針を打ち出している。チェコインベストが起草に関わった「国家インダストリー4.0イニシアチブ」は、2016年8月にチェコ政府からの承認を受けている。
一方、日本政府も、ドイツとの間でIoT(モノのインターネット)とインダストリー4.0についての協調を進めており、2017年3月の「ハノーバー宣言」では共同声明を閣僚級に格上げした(関連記事:日独で第4次産業革命に向けた「ハノーバー宣言」採択、9項目で協力へ)。
そして今回のソボトカ氏の来日に合わせて、日本のロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)とチェコ産業連盟の間でIoTとインダストリー4.0で協調するための覚書を締結した。協調分野は産業向けサイバーセキュリティ、国際標準化、規制改革、中小企業支援、人材育成、研究開発とイノベーションなどとなっている。
これらの項目は、日本とドイツが2016年4月に次官級で行った共同声明とほぼ同じであり、日本とチェコの間でもハノーバー宣言と同様に協調範囲が拡大していく可能性がある。
またチェコは、インダストリー4.0に加えて電気自動車についても注力する方針を示している。2030年までにチェコ国内で25万台の電気自動車を走行させることが目標だ。日本から投資を期待できる分野としては、欧州最大のリチウム鉱脈の存在を挙げている。埋蔵量は世界の約6%、抽出可能な鉱石量は炭酸リチウム換算で570万トンに相当する。既に、日本からはセントラル硝子が車載リチウムイオン電池用電解液の工場を建設しており、年間2万トンを生産する予定だ。
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