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インダストリー4.0の地味化はいい傾向?悪い傾向?いまさら聞けない第4次産業革命(13)(2/3 ページ)

製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第13回となる今回は、2017年4月に開催されたドイツの「ハノーバーメッセ 2017」で見えた傾向についてまとめます。

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インダストリー4.0が地味化した?

 さて、ドイツは展示会大国ともいわれていますが、前回取り上げた「CeBIT2017」の翌月である2017年4月24〜28日には「ハノーバーメッセ2017」が開催されました。矢面さんは、CeBIT2017に続いて、ハノーバメッセ2017にも参加できたようですよ。

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印出さん、こんにちは。CeBITに続いてハノーバーメッセにも行かせてもらうことができたんです。印出さんも参加したんですってね。


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私は毎年行っているもの。矢面さんが行くのが分かっていれば向こうで会えたかもしれないわね。


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そうですよ。言ってもらっていれば注目のポイントとか向こうで聞けたのに。今日来なくても良くなったのに。


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あら、残念。というか、今日はそれを聞きに来たの?


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そうなんですよ。行って面白いものはいくつかあったんですけど、全体のポイントがよく分からなくて。印出さんなら分かるかなあと。


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いろいろな展示があるので私もなんとも言えないところはあるけど、全体の雰囲気を一言で表すとすると「地味」だったわね。


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えー。そういう印象なんですか。


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いや、ネガティブな話ではないのよ。現実的で地に足が付いた提案が増えてきたなという意味なの。


現実的な課題をクリアしていくフェーズに

 ハノーバーメッセでインダストリー4.0の概念が提唱されたのは2011年のことで、丸6年が経過したことになります。当初はドイツ国内でも半信半疑でしたが、2013年末にロードマップなどが示されるようになってから、急速に現実味を帯びてきました。

 ただ、2014年や2015年は「そもそもインダストリー4.0とは何か」に大きな注目が集まり、その中で「理想像」を描くような展示が多く出展されました。

 インダストリー4.0で描かれる理想の生産システムはマスカスタマイゼーションだとされています。エンドユーザーから注文が入った時点で、製造を行うロボットや製造装置が自律的に判断して生産内容を変更し、注文品を自動で作るようにするという世界です。2015年頃のハノーバーメッセでは、これらを解決するような「高度な自動化」への展示への関心が集まりました。例えば、インダストリー4.0プロジェクトにおける技術イニシアチブ「スマートファクトリーKL」が出展したモジュール型の生産ラインや、シーメンスが出展した香水のBTO製品自動生産ラインなどがそれに当たります※)

※)関連記事:インダストリー4.0が目指す“一段上”の自動化

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シーメンスが出展した香水BTO製品の自動化生産ライン

 2016年も同様の出展が続いた一方で、徐々に課題部分が注目を集め始めました。中小製造業のIoT化が課題であることが強く指摘されたのも2016年のハノーバーメッセからでした。ロボットやカスタム製造ラインなどを用いて、カスタム製品の自動化ラインの構築は大きな理想ではありますが、現実的にこれを製造業として導入しようとした場合、エンジニアリングチェーンのシステム構築や、営業体制なども含めたビジネスモデルなども含めた大きな体制変更が必要になり、一朝一夕でできることではありません。また新たなビジネスを立ち上げるリスクも大きく、大企業であってもそうそう踏み切れるものではありません。

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理想像を描き、目指す方向性示してきたのがここ数年のハノーバーメッセだったとすると、2017年は、理想は理想として置いておいて、現実を示したといえるかしら。


 こうした流れから、より現実的で今すぐにでも役立つという展示が増えたことが「地味」な印象へとつながったといえます。

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