毎秒1000フレームで対象物を検出・追跡する高速ビジョンセンサー:組み込み開発ニュース
ソニーは、毎秒1000フレームで対象物を検出・追跡する高速ビジョンセンサー「IMX382」を発表した。撮像から画像処理までを1チップで行うことができる。
ソニーは2017年5月16日、毎秒1000フレームで対象物を検出・追跡する高速ビジョンセンサー「IMX382」を発表した。同年10月よりサンプル出荷を開始する予定で、サンプル価格は10万円(税別)となる。併せて、ユーザーの使用環境下で評価が可能な評価キットも提供。同キットは、カメラとソフトウェアで構成される。
同センサーは、裏面照射型画素部分と信号処理回路部分を積層した構造を採用している。信号処理回路部分にはビューイング用とセンシング用の2つの画像処理部を備え、センシング用画像処理部にプログラム可能な列並列プロセッサを搭載した。これにより撮像からセンシングまでを毎秒1000フレームで処理し、画像情報から対象物を検出してその重心位置、面積、動き方向などの情報をフレーム単位で出力できる。
有効画素数は127万画素で、フレームレートはビューイングが60fps(Quad-VGA:1280×960)および120fps(640×470)、センシングが500fps(Quad-VGA)および1000fps(640×470)。1チップで撮像からセンシングまでを行うため、システム全体の小型化や省電力化が期待できる。
また、従来の毎秒30フレームの約33倍となる毎秒1000フレームの撮像スピードを可能にしたことで、これまで困難だった高速移動する対象物の追跡が可能になった。処理結果は1フレーム単位での出力が可能で、従来に比べて高速にフィードバックできる。これらの機能から、工場の生産ラインにおける異常・故障の迅速な検出や、産業用ロボットへのリアルタイムなフィードバックが可能になるとしている。
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