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自動車部品向け高加工性高強度鋼板をシリーズ化:材料技術
JFEスチールは、自動車部品向け高加工性高強度鋼板(ハイテン)のラインアップを「JEFORMA」としてシリーズ化した。従来の鋼板よりも伸びが高く、これまで成形できなかった自動車部品が加工可能になる。
JFEスチールは2017年4月24日、自動車部品向け高加工性高強度鋼板(ハイテン)を「JEFORMA」としてシリーズ化したと発表した。今回シリーズ化したのは、同社が開発した冷延鋼板や合金化溶融亜鉛めっき(GA)鋼板で、部品の形状や加工方法に適したものとなる。
JEFORMAシリーズは、従来の汎用鋼板よりも伸びの高いType1(高El型)、伸びや伸びフランジ性(伸ばした時の変形能)が高いType2(高El−高λ型)、高El型よりさらに伸びが高いType3(超高El型・TRIP鋼)の3タイプを用意。さらに、各タイプで強化グレードを590〜1180MPa級までそろえた。
例えば、袋形状をしているセンターピラー部品の下部は、張り出し成形性が必要とされるため従来の鋼板では成形できなかったが、980GAType2(高El型)ではプレス成形できる。また、高い伸びフランジ成形が求められるセンターピラー上部のフランジ部は、590GAType2(高El−高λ型)で割れることなく加工可能だ。
自動車に使用される鋼板は、燃費や車体の安全性向上のため、高強度化が求められる。自動車部品向けとして、DP型やマルテンサイト単相型の汎用ハイテンなどが用いられるが、鋼板を高強度化すると伸びや伸びフランジ性などの加工性が下がり、適用可能な部品が制限されることもあった。
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