スマートホームが軸足のIoTプラットフォームが躍進、売上高は前年比7.5倍:ESEC2017&IoT/M2M展
IoTプラットフォームを展開する米国ベンチャーのエイラネットワークスが急成長を遂げている。日本国内では2016年から本格的な事業展開を始めたところだが、米国、そして中国で次々に顧客を獲得。「売上高は前年比で7.5倍になった」(同社)という。
IoT(モノのインターネット)プラットフォームを展開する米国ベンチャーのエイラネットワークス(Ayla Networks)が急成長を遂げている。日本国内では、2016年から本格的な事業展開を始めたところだが、米国、そして中国で次々に顧客を獲得。「売上高は前年比で7.5倍になった」(同社 バイスプレジデント カスタマーサクセスのマイク・メリット(Mike Merit)氏)というのだから驚きだ。「第6回 IoT/M2M展」(2017年5月10〜12日、東京ビッグサイト)にも出展し、日本国内での採用に向けてアピールした。
同社の特徴は「Ayla IoTプラットフォーム」を、スマートホームとスマートオフィス向けに特化して事業を展開している点になる。多くのIoTプラットフォームが、全方位展開をうたう中で、価格変動の大きいコンシューマー向けに近いスマートホームに軸足を置く企業は多いとはいえない。また、スマートオフィスについても、量販店やレストランなどの店舗向けが中心。エイラネットワークスの顧客がコンシューマーと接することが多い点を考慮すると、B2B2C向けIoTプラットフォームと言ってもいいかもしれない。
メリット氏は、スマートホーム向けIoTプラットフォームの強みとして、スマートホームインタフェースやソーシャルメディアプラットフォームとの連携をシームレスな接続を挙げた。「米国の3大スマートホームインタフェースであるAmazonの『Alexa』、Googleの『Google Home』、Appleの『HomeKit』の他、中国最大のソーシャルメディアである『WeChat』との連携可能だ」(同氏)という。
前年比7.5倍という急激な成長は、これらスマートホーム関連での採用が拡大したからだ。メリット氏は「2020年まではスマートホーム市場でしっかり展開を進めたい。スマートホームへの取り組みは、米国と中国が先進的で、次いで欧州、日本という状況だ」と語る。日本国内での展開を進める上で、最大のソーシャルメディアプラットフォームであるLINEへの興味を隠さなかったが「まだ協業には至っていない」(同氏)とのことだった。
中央にあるのは「Ayla IoTプラットフォーム」に対応する半導体チップを搭載する評価ボード。ルネサス エレクトロニクスの「Synergy」も対応した。評価ボードの周囲には、Ayla IoTプラットフォームを採用するスマートホーム製品が並ぶ(クリックで拡大)
Ayla IoTプラットフォームの新機能としては、データ分析やBIを行うツール「Ayla Insights」がバージョン2.0となった。メリット氏は「特に、IoTデバイスがどう使われているのかをリアルタイムでモニタリングするという観点で機能向上を図った。照明付きシーリングファンのハンター(Hunter)は、得られたデータを分析して約60%のユーザーが使用していない機能を見い出すなど製品開発にも応用している」と説明する。
メリット氏に、競合になるようなIoTプラットフォームがあるか聞いたところ「唯一の競合はBuilding Yourself(自社構築)になるだろう。先述したスマートホームのインタフェースや、標準でつながる半導体チップの豊富さなど、エコシステムの充実は追随を許さない」(同氏)と述べている。
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