バイオジェット燃料の一貫製造技術開発を開始:FAニュース
新エネルギー・産業技術総合開発機構は、微細藻類や木くず由来のバイオジェット燃料を一貫製造する技術開発に着手する。パイロット規模で検証試験を行い、2030年ごろのバイオジェット燃料製造の商用化を目指す。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2017年4月21日、「バイオジェット燃料生産技術開発事業」において、微細藻類や木くず由来のバイオジェット燃料を一貫製造するプロセスの技術開発に着手すると発表した。事業期間は2017〜2020年度で、2017年度は6億6000万円の予算を組んでいる。
NEDOでは今回、2つの一貫製造プロセスの技術開発のテーマを採択した。1つは、微細藻類の培養による「高速増殖型ボツリオコッカスを使ったバイオジェット燃料生産一貫プロセスの開発」で、IHIと神戸大学に委託する予定。もう1つは、木くずなどのガス化による「高性能噴流床ガス化とFT合成によるバイオジェット燃料製造パイロットプラントの研究開発」で、三菱日立パワーシステムズ、中部電力、東洋エンジニアリング、宇宙航空研究開発機構に委託する。
今回の開発では、1万m2規模の微細藻類の培養設備を構築するなど、パイロット規模の検証試験を行う。また、設備の規模拡大など、より高効率な工業化に向けた課題の抽出とその対策を盛り込み、安定的な長期連続運転やコスト低減などの検証を行う。
バイオジェット燃料は、航空分野におけるCO2排出量削減の切り札として導入の機運が高まっている。これまでの要素技術開発では、微細藻類を用いた大量培養では藻を安価に回収することや、木くずなどのガス化ではガスの性状を安定化する技術など、安価かつ安定的にジェット燃料を一貫製造する技術の開発が課題となっていた。
今回の技術開発を通じて、NEDOでは2030年ごろのバイオジェット燃料製造の商用化を目指す。また併せて、その利用促進/普及を通じ、2030年以降の航空分野でCO2などの温室効果ガス排出量の削減を目指すとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- CAEは高度化と簡易化に分かれる、生産技術CAEも充実
「第26回 設計・製造ソリューション展(DMS2015)」では、VDI環境でのCAE実施や、高度な解析が社内でも使えるようになるなど、一層CAEの利用範囲の拡大が感じられた。 - 世界を変えるAI技術「ディープラーニング」が製造業にもたらすインパクト
人工知能やディープラーニングといった言葉が注目を集めていますが、それはITの世界だけにとどまるものではなく、製造業においても導入・検討されています。製造業にとって人工知能やディープラーニングがどのようなインパクトをもたらすか、解説します。 - 生産技術の進化がなければ、TNGAもハイブリッドシステムの向上も成立しない
他社がまねできない技術には、工作機械メーカーの協力が不可欠――。「第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)」の特別講演で、「TNGA(Toyota New Global Architecture)」やエコカー戦略を支える生産技術について、トヨタ自動車 パワートレーンカンパニー ユニット生産技術領域 常務理事の近藤禎人氏が語った。 - 人工知能は製造現場でどう役に立つのか
人間の知的活動を代替するといわれる人工知能が大きな注目を集めている。ただ、製造現場で「使える」人工知能は、一般的に言われているような大規模演算が必要なものではない。「使える人工知能」に向けていち早く実現へと踏み出しているファナックとPFNの取り組みを紹介する。 - 韓国に負けたのか日本企業、燃料電池で東芝とパナが健闘
家庭の据え置き用途、燃料電池車、携帯型用途……。燃料電池は発電効率が高い他、燃焼ガスの発生が少なく発電技術だ。動作音が静かであることも他の発電技術と比較して有利だ。燃料電池の研究開発は米国で始まり、日本と米国を中心に実用化が進んでいる。では特許戦略では日本は優位にあるのか。